中島:区民としては、議会でなぜそうした質問をするのかが疑問でしたが、嫌になったりしませんか?

岸本:代表質問などネットに流れるのはごく一部で、議会の大半はきわめて真っ当なやりとりなんです。勉強になりますし、議員さんの姿勢や論理もわかって面白かったです。

中島:手応えを感じているんですね。

岸本:私には新鮮ですし、区政のプロセスを区民にどうやって伝えようかと考えています。応援してくれた方々にとっても選挙と選挙のあいだが重要なので、区民に区政を伝える仕組みを楽しみながら考えています。

■子どもたちに希望を

中島:この10年、未来を明るく考えられなかったんですが、岸本さんが当選してから「未来がある」と思えてきました。

岸本:「希望」や「未来」ってキーワードですよね。今は戦争もコロナもあって、10年前には東日本大震災や原発事故があった。国際的に見ても危機の連続なので、その中で成長してきた子どもたちが心配なんです。

中島:コロナ禍でも、学校や子どもたちの問題は後回しでした。

岸本:社会に「希望がない」ことについて、自分の世代の責任を感じています。一方で希望と課題は結びついていて、女性の生きにくさや気候変動の問題も、危機でもあると同時に希望でもあると思う。実際、もう変わらないと生きていけないですから。

中島:こうした問題は杉並だけのものではないですよね。

岸本:ヨーロッパで運動している中で生まれた点のような小さな希望が集まって、ドットになり、つながって線に、時には面になるのを見てきました。日本の杉並は象徴的な一つの点ですが、他にも点はあるし、これから生まれてくるところもあるでしょう。そうなったらお互いに希望のヒントを出し合える。地方自治の面白さだと思います。選挙はそのためのツールでしかなく、選挙と選挙のあいだに何をするかが楽しいですよね。

中島:今日は岸本さんから「楽しい」という言葉が何度も出てきたのが嬉しかったです。

(構成/ライター・矢内裕子)

AERA 2022年11月21日号