米国・ニューヨークに居を移した小室圭さん、眞子さん夫妻。圭さんは10月、ニューヨーク州の司法試験に合格した
米国・ニューヨークに居を移した小室圭さん、眞子さん夫妻。圭さんは10月、ニューヨーク州の司法試験に合格した

 小室圭さんがニューヨーク州の司法試験に合格した。だが、一部の週刊誌報道やSNS上でのバッシングはやまない。現代の日本において、皇室の情報発信はどうあるべきか。2022年11月14日号から。

【写真】女性誌に「歯科医交際」が報じられた佳子さま

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「このたびはおめでとうございました。眞子さんとお祝いする時間は持てましたか?」

 11月1日、ワイドショーが朝から何度も小室圭さんの姿を映した。女性レポーターがマイクを差し出し、「日本でも応援する人がいたと思うんですが、何か一言ありませんか?」。

 無言で歩き続ける圭さんを「ガン無視」と評したコメンテーターもいた。確かに、止まって頭を下げるだけでも印象は違ったと思う。が、一切関わらないという決意すら感じさせる圭さんの気持ちも想像に難くない。

 試験合格が明らかになった直後のワイドショーは「年収3千万円」などとはしゃいでもいたが、週刊誌は違った。合格後に出た記事の見出しをまとめると、「有頂天が夫婦危機を招きそうな圭さんは皇室丸抱えのセレブ合格で、それは母の佳代さんと圭さんの『逆襲』でもあり、次なる母子の『野望』は眞子さん妊娠で、カギを握る『女医』のいる眞子さんは学芸員としては実力不足」となる。

 ツイッターも相変わらずだ。合格後も「#小室圭」投稿者は税金投入を言い募る。渡米後に週刊誌が報じた「2人の警備費=年8億円」説を固く信じて、怒っている。メディアと国民が情報を行き来させ、悪意を膨(ふく)らませる構図が見えて、圭さんの態度も無理からぬと思う。

■現実がしんどいから

 重なったのが、ベテラン脚本家の言葉。『ネットと朝ドラ』という本の中で、令和最初の朝ドラ「なつぞら」を書いた大森寿美男さんがこう言っていた。

「最近の朝ドラでは不幸は除外したい要素なんですよ。いや、朝ドラに限らずかな、日常がしんどいのにドラマまでしんどいものは見たくないという反応があるので、スタッフ側は排除しよう排除しようとする」

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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