大宮エリーさん(左)と膳場貴子さん(photo 篠塚ようこ)
大宮エリーさん(左)と膳場貴子さん(photo 篠塚ようこ)

 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。7人目のゲスト、キャスターの膳場貴子さんが飼っているたくさんの生き物について語ります。

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*  *  *

大宮:わたし、今年からを2匹飼い始めたんです。膳場さんは生き物は?

膳場:大好き。大学3年生のとき、実習で使ったハツカネズミを最後に頸椎(けいつい)脱臼させて殺すのが嫌で、家に連れて帰って飼ってました。

大宮:ええええ! そんな人いるの!? 確かに私も薬学部であれがどうもできなくて研究者の道を諦めたからね。しかし飼うとは。

膳場:NHKに入って静岡に配属されたんだけど、初めての一人暮らしのお供でした、チューちゃん。食事のときテーブルに乗せてあげると、お皿にきて食べ物をおねだりして。なぐさめられたなあ。実験用のハツカネズミは歴代4匹飼ってて、最後の子は、シンポジウムで知り合った薬学部の研究者に譲ってもらったよ。

大宮:いや~、変わってるー!

膳場:急に遠くにいかないで(笑)。

大宮:(笑)。今は飼ってないよね?

膳場:えっ……。いろいろいます。子どもが好きだから昆虫とか。そこに大人が便乗して、大型の甲虫から始まって、爬虫類(はちゅうるい)や両生類や水棲(すいせい)生物、文鳥も。

大宮:すごいっすね。

膳場:寝ようと思うとカエルが鳴き始めたり、生き餌のコオロギが脱走して、家のいろんな場所で虫の音が聞けたりするよ。

大宮:何が餌で、何を飼っているのか……。

膳場:ほんとよね。最初はコオロギの声って風情あるなあ、とか思ってたけど、最近はちょっと「ふっぜー」ってなってる。

大宮:突然だけど、膳場さん自身、泣いたりする?

膳場:よく落ち込むけど、泣くことはないかな。感情は安定して低空飛行。

大宮:感情の動きが大きい人は、そんなにいろいろ飼えないと思ったんですよね。

膳場:たしかに、お別れがあるもんね。でもね、半年間一緒に暮らしたクロオオアリが死んだときは、自分でも引くほど落ち込んだ。私、アリについては巣作りを観察する派じゃなく、関係性をじっくり観察する派なのね。

大宮:関係性……?

膳場:アリって、口うつしで仲間に甘露をわけたり、からだを掃除しあったり、お互いを思いやる行動がすごく多いの。仲間に身を委ねる様子なんて感動しちゃう。虫に人生を学べって本気で思いましたもん。それで、すっかり夢中になってね。

大宮:へー!

膳場:近所の公園で巣穴から3匹捕まえて、愛(め)でてたんです。

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