アイスショー「BEYOND」での浅田真央さん
アイスショー「BEYOND」での浅田真央さん

 アイスショー「BEYOND」で座長を務める浅田真央さんがAERAに登場。現役時代は自分に厳しく、孤高に技術を磨いてきた。周りの意見を採り入れる柔軟さと、高みを目指すまっすぐな情熱。二つのバランスが彼女の真骨頂だ。AERA 2022年11月14日号から。

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 アイスショー「BEYOND」で、90分間ノンストップで自身の過去ナンバーのリメイクを滑り抜く。メンバーの大半は20代だが、自身は32歳になった。35歳の柴田嶺とはペア演技に初挑戦、43歳の田村岳斗からは刺激を受けた。

「私は体力限界でやっていますが、嶺君、40代の岳斗さんは限界を超えているすごさがあります。私は、これだけたくさんの人が関わり運営するなかで『失敗できない』というプレッシャーを感じて氷に立つんですが、若いメンバーは本番前に『今日はお母さんが見に来てるんだ』とか、発表会みたいで楽しそう。『こんな感じでいいんだ』って、逆にパワーをもらっています」

 公演が終わるたびに、ファンの感想を聞き、内容を修正する。

AERA2022年11月14日号
AERA2022年11月14日号

「SNSの声は賛否両方うれしいです。『この演出でいいのかな?』って思っている部分も、意見を受け止めて改善する。正面席へのアピールだけでなく、もっとサイド方向でストップしたり、曲を再編集したり、ステージは初演からかなり変わりました。自信ももらいます。初演後に『想像を遥かに超えました』というコメントがあって、『やったー!』って。やっぱり、私は『超えたい』という思いが一番強いんです」

 現役時代は、当時の女子選手としては唯一ともいえるトリプルアクセルを武器に戦ってきた。

「氷の上にのったら、選手の時とパッションは変わりません。他の人ができないことをやって驚かせたい、という気持ち。このBEYONDにぶつける思いは、トリプルアクセルと変わりません。自分の情熱がなくなったり、技術が下降するようなことがあったら、もう滑ることはないと思います。それくらいの覚悟で、私たちにしかできないショーを届けます」

(ライター・野口美恵)

AERA 2022年11月14日号