元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

【写真】稲垣さんが夜なべして作ったマックブックのケース

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 我がマックブックのEとIのキーボードが反応しなくなった。ホコリを吹き飛ばせば直るハズとエアダスターを買いシューシューやったがダメ。EとIって母音だから原稿書きには致命的だ。しかもこういう時に限って締め切り集中。焦ってネットで修理業者を探し電話すると、幸いとても親切な方で苦境を理解してくださり、とりあえず外付けのキーボードをすぐ送りますネ、あと修理より同種の中古品をこちらで完全な状態にしてお渡しするのが早いし安くつきますよと有難いご提案。

 早速中古パソコンの代金3万8千円を振り込み、2日後には届くというキーボード到着を待ったが何も届かず。電話すると「調べて折り返します」。折り返しなし。電話すると「手違いがあったみたいで」。そんなやりとりを延々繰り返し、結局10日経っても事態は微動だにせず。

 腹が立つより何だか傷ついた。騙されてる? 機械に弱いから慌てて会ったこともない人に頼った私がバカなの? モヤモヤが収まらず、勇気を出して電話し気持ちを正直に伝えたら、別の案件で大きなトラブルが発生し人手が足りず対応できなかった申し訳なかったと言われ、話し合いの結果、依頼は白紙に戻しお金の一部を返してもらうことにした。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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