10月2日、ステージに臨む直前のBE:FIRSTのメンバー。打ち合わせとリハーサルでは、細部までパフォーマンスを確認していた(撮影/坪井隆寛)
10月2日、ステージに臨む直前のBE:FIRSTのメンバー。打ち合わせとリハーサルでは、細部までパフォーマンスを確認していた(撮影/坪井隆寛)

 昨年11月のデビューから快進撃を続けているダンス&ボーカルグループBE:FIRST。現在、初となる全国ツアー「“BE:1”2022-2023」の真っ只中だ。彼らを率いるのはプロデューサー・SKY-HIさん。その人に接するときの信念は、社会人にとっても大いに参考になるはずだ。2022年11月7日号では「人を育てる」を特集した。

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 SKY-HIは伸び盛りのBE:FIRSTの現在地について、こう語った。

「毎ステージ満足しきれていない状態もいいことだし、満足しきれないものを作るのがこちらの仕事です」

 ただ、クリエイティブを突き詰めるには、多大な労力を伴う。

「3桁近いやり直しや差し戻しが発生するし、一度依頼した内容を取り消す事態も起こりうる。それ以外の部分はふにゃふにゃしておかないと、死人が出ます」

■最大の努力したかった

 いざというときの責任者が自分だということは、プロデューサーとしてCEOとして肝に銘じている。

 話はオーディションの開催当時にまでさかのぼった。

「実績もない会社のオーディションに来てくれること自体が、ありがたかった。参加者にも自分にも正解がないから、一緒に作っていく段階でした。最終的にメンバーになる人とそれ以外の人が生まれる。たくさん生まれるそれ以外の人に『BMSGを受けてよかった』と思ってもらえるだけの、最大限の努力はしたかった」

 一方的に選ぶ側ではなく、参加者から評価される側でもある。そう考えたからこそ、参加者一人一人と向き合う時間を極力平等に設けるよう努めた。また、オーディションは審査をする側が圧倒的に上の立場になるから、ともすると「いうことを聞かなければ」と思われてしまう。自分の感じ方を大切にできるように、何かしら突っ込みどころを作る必要があると考え、裏の目標をひとつ設定した。参加者に「一回でいいからタメ語を使ってもらうこと」。

「予想通り、Shota(Aile The Shota)がその壁を越えてきました。髪が青くなっていたので、『そんなに湿度高かったっけ?』と言ったら、『苔じゃねえわ!』。達成感がありましたね(笑)」

 褒めることも大切にした。個性の中で突出しているところ、少し変わっているところを具体的に褒めた。

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