「ジェンダーギャップランキング2022 1位~30位」AERA2022年10月31日号より
「ジェンダーギャップランキング2022 1位~30位」AERA2022年10月31日号より

 日本は世界的に見ても企業内や政界など組織内での女性の地位が低い。打開策はないのか。AERA 2022年10月31日号の記事を紹介する。

【ジェンダーギャップランキングの続き】31位以下はこちら

*  *  *

 突きつけられたのは、惨憺(さんたん)たる現実だ。世界経済フォーラム(WEF)は今年7月、世界各国の男女格差の状況を評価した「ジェンダーギャップ報告書」の2022年版を発表した。日本の「ジェンダーギャップ指数」は146カ国中116位。男女平等が達成されている状態を100%とした場合の達成率は65.0%と、1位アイスランドの90.8%に遠く及ばず、主要7カ国(G7)で最下位。アジアでも韓国や中国、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国より低い評価だった。日本のジェンダー平等政策に詳しい中央学院大学准教授の皆川満寿美さんはこう見る。

「目立つのは政治と経済の分野での順位の低さ。この指数は政治分野の動きがより強く反映される面がありますが、その政治で139位。経済は121位とよりマシですが、とくに管理職は達成率15.2%で130位と、先進国とはいえない数字です」

 今年8月に発足した第2次岸田内閣の閣僚20人のうち女性はわずか2人。順位の低さは当然か。管理職比率の低さは産業別に見ても、課長相当職以上が半数近い「医療・福祉」を除けば軒並み低い数字にとどまる。

 日本では1999年に男女共同参画社会基本法ができ、2003年には「20年までに指導的地位に占める女性の割合を少なくとも30%に」とする目標「2030(にいまるさんまる)」を掲げた経緯がある。しかし、政府は20年7月、「20年代の可能な限り早期」に「30%程度」と目標を先送りした。

■政治的意思は逆向き

 あっさりとあきらめたのはなぜなのか。皆川さんはこう話す。

「あっさりとは思いません。2000年代に入ってさらに激化したバックラッシュ(男女共同参画の取り組みへの反動的な動き)によって、内閣府男女共同参画局は早い時期から『2030』の実現は無理だと考えていたと推測します。局がなくなる可能性すらありました」

著者プロフィールを見る
小長光哲郎

小長光哲郎

ライター/AERA編集部 1966年、福岡県北九州市生まれ。月刊誌などの編集者を経て、2019年よりAERA編集部

小長光哲郎の記事一覧はこちら
次のページ
【ジェンダーギャップランキングの続きはこちら】