photo エウレカ提供
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 ペットの死別時に休暇は取れる? ワンオペ育児で中学受験乗り越えられる? さまざまな事情を抱えて働く社員を支えるため、企業側も従来の制度の枠を広げ、新たな両立支援の仕組みをつくり始めている。AERA 2022年10月31日号の記事を紹介する。

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「こちらがペットと過ごせる部屋です」

 通されたのは広々としたガラス張りの部屋だ。

 婚活マッチングアプリ「Pairs(ペアーズ)」を運営するエウレカでは、やむを得ない場合でのペットとの同伴出社を認めている。中央に卓球台が置かれた部屋は、まるで娯楽スペース。会議時には、いすを並べて会議室として使用するというが、普段は社員が自由に使える場として活用されている。そして、ペット同伴時にはこの部屋がペットの居場所となるそう。同社広報事務局の小野澤翔さんは言う。

「ペットのそばで仕事をすることも可能です」

photo エウレカ提供
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■ペットも大事な家族

 創業者が犬を飼っていたこともあり、「ペットも家族の大事な一員」というカルチャーが根付いているという同社では、ほかにもペットとの死別時に、有休とは別に2日間の休みが取れる制度もある。

「大切な家族の葬儀やお別れの時間に使ってほしいという思いから生まれた制度です」(小野澤さん)

 同社ではこうした福利厚生制度を「バニエラ」と名づけている。ギリシャ語でお風呂を意味する言葉で、アルキメデスは入浴中に浮力の原理を発見したとされており、ベストパフォーマンスを出すためには心やすらぐ時間や場所が必要だという意味が込められている。

 ペットだけでなく子連れ出勤も認めており、入園や卒業などの際にも休みが取れる。

「若い会社ですが、社員の平均年齢も徐々に上がり、ペットだけでなく、子ども向けに制度を使う人も増えています」(同)

 ワークスタイルが多様化する中、さまざまな事情を抱える社員や、プライベートも充実させたいと考える社員が増えている。企業側も、従来の制度にとどまらず、新たな両立支援に取り組み始めた。

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