俳優 鈴木拡樹 (c)2022 toei-movie-st
俳優 鈴木拡樹 (c)2022 toei-movie-st

 今年11月に公開の人気シリーズ最新映画「死神遣いの事件帖」で主演を務める鈴木拡樹さんがAERAに登場。「字を書くシーンでも、生い立ちを考えたりする」など、映画や舞台に込めた思いを語った。AERA 2022年10月24日号から。

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 演劇の世界に足を踏み入れたのは、22歳のとき。その少し前、友人に誘われて舞台を観に行ったのがきっかけだった。

「圧倒的な生の熱量。テレビドラマとは違う、目の前で全身を使って表現する人間の熱気にあてられました。何か、体の芯に響くような感覚があって『舞台ってすごい世界だな!』と驚きました。演者と一緒に、自分も作品の世界の中に入り込んでしまったような気がした。観終わった後も何日かは興奮が冷めませんでした。その頃は俳優になりたいだなんて思っていなかったけれど、『こんな感覚が味わえるのは舞台しかないのかもしれない』と思ったんです」

 今年で俳優デビュー15周年。今では「2.5次元ミュージカル」を牽引する一人として、数々の映画や舞台の主演を務める。今年11月には、人気シリーズ「死神遣いの事件帖」の最新映画が全国劇場で公開予定だ。

AERA 2022年10月24日号より
AERA 2022年10月24日号より

「2.5次元世界のキャラクターたちは架空の存在。だからこそ、映画や舞台で演じるときはリアリティーを与えてあげたい。例えば『字を書くシーン』を演じるときも、『文字って結構性格が出るよな、このキャラだったらどう書くんだろう』とか、そこに至るまでの生い立ちを考えたりします。バックボーンがあるかないかで、同じ行動をしても所作が変わってくると思うんです」

 参加した舞台を通じて、漫画やアニメなどの原作をもっと多くの人に知ってほしい。同時に、演劇の魅力も伝えていきたい。それが願いだ。

「20代の僕と同じように、それまで演劇を観たことがなかった人がこの世界の魅力に気づくきっかけをつくりたい。そのために挑戦したいこともたくさんあります。新しいことはやっぱり気合が入りますよ、やるぞって」

(ライター・澤田憲)

AERA 2022年10月24日号