東ちづるさん(後列左から2番目)が理事長を務める一般社団法人Get in touchが今年初めて開催した「世界脳性まひの日」のイベント「Warm Green Day」。会場が満席になり、盛り上がりました(江利川ちひろさん提供)
東ちづるさん(後列左から2番目)が理事長を務める一般社団法人Get in touchが今年初めて開催した「世界脳性まひの日」のイベント「Warm Green Day」。会場が満席になり、盛り上がりました(江利川ちひろさん提供)

「インクルーシブ」「インクルージョン」という言葉を知っていますか? 障害や多様性を排除するのではなく、「共生していく」という意味です。自身も障害のある子どもを持ち、滞在先のハワイでインクルーシブ教育に出合った江利川ちひろさんが、インクルーシブ教育の大切さや日本での課題を伝えます。

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 10月6日は世界脳性まひの日です。

 欧米ではさまざまなイベントが開催されているようですが、日本ではまだその存在自体、ほとんど知られていません。

 今年は、俳優の東ちづるさんが理事長をされている一般社団法人Get in touch(以下 Get in touch)が、シンボルカラーのグリーンにちなみ「Warm Green Day」と名付け、10月6日当日にイベントを行いました。私が運営しているNPO法人かるがもCPキッズも脳性まひのお子さんとご家族を支援している団体のため、ピアサポーター2人とともに参加させていただきました。

 今回はWarm Green Dayについて書いてみようと思います。

SNSでハッシュタグが

 ちづるさんたちがこのイベントを開催したきっかけは、ある脳性まひの方が「世界自閉症啓発デーは知られているのに、世界脳性まひの日があることは誰も知らないんです」と言ったひとことだったそうです。そしてGet in touchの会議で「Warm Green Day」を開催しようと決まったものの、脳性まひの状態はひとりひとり違うため、「脳性まひとは?」と病気を理解するところから始めた苦労もあったようです。

 それでも、当日は会場が満席になるほどにぎわい、さらにこの活動に賛同した都庁や神奈川県庁など多くの施設がグリーンにライトアップされたり、SNSで「WGD106」や「世界脳性まひの日」というハッシュタグを見かけたりと、昨年までとは全く違う景色になったと思います。脳性まひの子どもを育てる母親として、Get in touchさんの取り組みをとてもありがたく感じました。

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江利川ちひろ

江利川ちひろ

江利川ちひろ(えりかわ・ちひろ)/1975年生まれ。NPO法人かるがもCPキッズ(脳性まひの子どもとパパママの会)代表理事、ソーシャルワーカー。双子の姉妹と年子の弟の母。長女は重症心身障害児、長男は軽度肢体不自由児。2011年、長男を米国ハワイ州のプリスクールへ入園させたことがきっかけでインクルーシブ教育と家族支援の重要性を知り、大学でソーシャルワーク(社会福祉学)を学ぶ。

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