ひらさわ・ともこ/1976年生まれ、東京都出身。雑誌のライターをしながら現職。2014年に女児を出産。自身の経験から無添加離乳食・幼児食ブランド「bebemeshi for family」を開発。食育アドバイザー(photo 写真映像部・加藤夏子)
ひらさわ・ともこ/1976年生まれ、東京都出身。雑誌のライターをしながら現職。2014年に女児を出産。自身の経験から無添加離乳食・幼児食ブランド「bebemeshi for family」を開発。食育アドバイザー(photo 写真映像部・加藤夏子)

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2022年10月3日号には、無添加離乳食・幼児食ブランド「bebemeshi for family」を開発したべべジャポン代表取締役社長の平澤朋子さんが登場した。

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 赤ちゃんが初めて口にする離乳食。大切な我が子に食べさせるからには食材を慎重に選び、だしを取って、栄養バランスに気をつかって……。

「気がついたら作るだけでヘトヘトになり、しかめっ面で赤ちゃんに離乳食を食べさせていたんです。これじゃ、かけがえのない親子の時間が台無しですよね」

 2014年に女児を出産。初めての子で、すべてを完璧にしたい気持ちが強かった。雑誌のライターの仕事は多忙だったが、離乳食作りは手を抜きたくなかったし、子どもと向き合う時間も大切にしたかった。葛藤を抱えながら、走り続けた時期だった。

 離乳食作りが一段落すると、同じように悩んでいる人たちの手伝いができないかと考えるようになった。時間がないけど手抜きはしたくない。開発したのが、食材を厳選し、調理法を工夫した冷凍の離乳食「bebemeshi」(ベベメシ)だ。

「自分の子に食べさせたいかどうか」を基準に食材選びから始めた。味を見極めるため、野菜などの産地に出向き、実際に食べた。ニンジンやカボチャは甘みがあるか。ホウレンソウやカブはみずみずしいか。自分の味覚を信じて、無農薬や減農薬の野菜を中心に仕入れた。

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