会社の屋上で「超蜜やきいもトースター」を持つ。イヤな顔をせず、いろいろな製品を持ってくれた(写真=MIKIKO)
会社の屋上で「超蜜やきいもトースター」を持つ。イヤな顔をせず、いろいろな製品を持ってくれた(写真=MIKIKO)

 ライソン代表取締役社長、山俊介。世の中に家電製品があふれている。大手メーカーの新製品に、ときめく人はどれだけいるだろう。焼きペヤングメーカー、せんべろメーカー……。山俊介は、何じゃこりゃな家電をつくり、世に問う。初志貫徹、地獄の試食。どこかにいるアナタの心を撃ち抜くんだ、ものづくりの街・東大阪から発信。

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 高層ビルが林立する大阪市の中心街。そこから電車で東へ15分も行けば、東大阪市だ。

 街に高層ビルは、ない。あるのは、およそ6千の町工場。キャッチフレーズは「歯ブラシから人工衛星まで」。何でもつくる街である。

 その街にある「PEANUTS CLUB」と書かれた一部4階建ての建物、その中に家電ベンチャー「LITHON(ライソン)」はある。

 社長の山俊介(やましゅんすけ)、41歳。身長181センチ。小高い山のように背が高いので、社内で目立つ。

 ここで、どんなことがなされ、何じゃこりゃ家電が生み出されるのだろうか。「焼きペヤングメーカー」で説明しよう。ライソンの名をネットの世界にとどろかせた家電である。

 すべては2017年の年末、東京都内の居酒屋から始まった。そのころの山は、「ピーナッツ・クラブ」という会社の、第二営業部というところの部長。会社の指令は家電を開発して売ることだった。山は同僚たちと、東西食文化の違い、で盛り上がっていた。山は大阪育ちの関西人である。

 うどんの味は、関東と関西ではちがうなあ。

 日清のどん兵衛も、ちがうぞ。

 そんな話をしているうちに、カップ焼きそばの話になった。

 関東では、「ペヤング」が人気だ。

 関西では、「U.F.O.」が人気や。

 ペヤングをつくる会社「まるか食品」は群馬県にある。U.F.O.の「日清食品」の本社は大阪にある。その違いかなあ、などと話をしていた。

 ふと、山が口にした。

「焼きそば言うけど、焼いてない。焼いたらうまいんかなあ……」

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