進捗率40%以上の65社(1/4)AERA2022年9月26日号より
進捗率40%以上の65社(1/4)AERA2022年9月26日号より

 急激な円安などで先行きが不安な人も多いだろう。だが、日本株は意外と底堅く、中間決算が好材料になる可能性もある。AERA 2022年9月26日号の記事を紹介する。

【表】「進捗率40%以上の65社」11位以下はこちら

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 円安基調が追い風となる外需関連に買いが入りやすく、米国株と比べれば日本株は意外と底堅いとも言えよう。しかも、10月下旬~11月中旬にかけては、3月決算企業の中間期業績発表という“吉報”が待ち受けている。

 なぜ、中間決算が好材料となりうるのか? それは、前期の決算期末を迎える直前にウクライナ侵攻があったからだ。先行きが見通しづらい状況で、3月決算企業は翌期の業績予想値を算出しなければならなかった。

 もともと日本の上場企業は、期初時点で保守的(控えめ)な業績予想を発表しがちだ。今期は、かなり弱気な見通しにとどめている可能性が高い。実際、発表済みの第1四半期業績を見渡しても、その兆候がうかがえる。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎さんはこう述べる。

「第1四半期の業績は比較的底堅く、特に非製造業が好調で全体の牽引役となっていました。TOPIX(東証株価指数)採用銘柄の業績予想に対する進捗率も29%に達し、前年比でも+11.2%となっていました」

 単純に考えて第1四半期(1年の4分の1)で進捗率が25%を超えていたら、後に減速しない限り、通期予想を上振れする可能性がある。

 しかも、個別に見ればもっと高い進捗率を達成しているケースが少なくないはずだ。そういった銘柄は、中間決算の発表を機に、通期予想を上方修正する可能性が高い。それは株価上昇に結びつく好材料となる。

■進捗率の落とし穴も

 そこで、窪田さんに時価総額1千億円以上で第1四半期決算の時点で進捗率が40%以上に達していたプライム市場上場銘柄をスクリーニングしてもらったら、65銘柄が抽出された(表参照)。

 進捗率が100%を超えている銘柄は、すでに第1四半期の時点で通期予想を達成済みということになる。ただ、すでに株価に反映されている可能性が高く、進捗率の高さだけに目を奪われてしまうのは考えものだ。

「65銘柄の顔ぶれを一覧すると、エネルギー・資源関連が数多く入っているのが特徴的です。また、コロナ禍の巣ごもりで大きな打撃を受けてきた業種の中でも、鉄道各社の回復ぶりが際立っています。飲食については給付金が下支えしたこともあってか、さほど目立った好転が見られず、進捗率が198%に達したトリドールHD以外は入っていません」(窪田さん)

進捗率40%以上の65社(2/4)AERA2022年9月26日号より
進捗率40%以上の65社(2/4)AERA2022年9月26日号より
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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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