小麦アレルギー理解得るため辿りついた方法(イラスト:サヲリブラウン)
小麦アレルギー理解得るため辿りついた方法(イラスト:サヲリブラウン)

 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 久しぶりにぐったりしています。頭痛薬も飲みました。はあ、しんどい。理由ははっきりしています。昨日、パンをたくさん食べたから。私は一定量以上の小麦グルテンを摂取すると、体調が悪化する体質なのです。

 気が付いたのは十数年前。知人の編集者がグルテンフリー食の本を編集したので軽い気持ちで実践してみたところ、痩せはしませんでしたが体調がすこぶるよくなってしまった。気づけば、月に何度もお世話になっていた頭痛薬にも手を出さずにいられたのです。私って小麦アレルギーなの?

 さて、ここからが面倒でした。理由はみっつ。

 ひとつ、私は小麦製品が好きなこと。炭水化物の嗜好品を断つのは、憂鬱の極みでした。今では米粉のパンやパスタが増えたものの、やはりもちもちした小麦グルテンの食感が恋しくなる時がある。

 ふたつめ、クッキー数枚なら問題ないものの、パン、パスタ、うどん、ラーメンは一人前食べるとあきらかに体調が悪化するところ。ひと口食べたら呼吸困難になるような深刻なものではない、という点を他者に伝えるのが難しい。

 みっつめ、日本人にはグルテンアレルギーなどほとんど存在しないという説があること。グルテンを悪とする風潮の下支えになったと私が感じている遅延型アレルギー検査が、医学的に意味があるのかを疑う声もあります。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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