新型コロナウイルス感染症は、急性期の症状が治まった後にさまざまな後遺症が生じる「Long COVID」を経験する人が多い。AERA 2022年9月19日号より紹介する。

【相談者が訴える症状はこちら】

AERA 2022年9月19日号より
AERA 2022年9月19日号より

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Q:後遺症はどんな症状が出ますか?

A:倦怠感や息切れ、嗅覚障害、味覚障害、咳、不安感や抑うつのほか、睡眠障害、思考力や集中力の低下、脱毛、筋力低下、発熱、頭痛などの症状が報告されている。

 厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント」によると、後遺症の発生頻度を調べた海外の論文45本の系統的な分析では、後遺症の中で発生頻度の高いものは倦怠感(40%)や息切れ(36%)、嗅覚障害(24%)、不安(22%)、咳(17%)、味覚障害(16%)、抑うつ(15%)だった。

 一方、厚労省の研究班の感染者525人を対象にした調査の中間報告によると、診断3カ月後には、海外で報告のあった後遺症に加え、脱毛(12%)や筋力低下(10%)、睡眠障害(10%)、思考力・集中力の低下(10%)、頭痛(9%)、痰(7%)などの症状もみられた。

 また、英国政府によると、記憶力の低下や胸の痛み、腹痛や嘔吐などの症状がでることもあるという。

Q:複数の症状が出ることもある?

A:東京都によると、都立・公社病院のコロナ後遺症相談窓口に相談を寄せた人の63%が二つ以上の症状を訴えていた。

 2021年5月10日~22年1月28日の間に連絡があった相談者3857人のうち症状が一つの人は30%、2種類の人が34%、3種類の人が19%、4種類以上の人が10%いた。

Q:なぜ、後遺症が起こるの?

A:詳しいことはまだわかっていない。後遺症は、不調の生じる臓器や種類などにより、異なる症状が組み合わさった「症候群」だと考える専門家が多い。

Q:オミクロン株と、それ以前に流行していたデルタ株などの変異株で、後遺症の発生頻度や重症度は違う?

A:英国政府によると、ワクチンの接種回数が2回の人は、オミクロン株の方が後遺症の発生頻度が低い。オミクロン株になって後遺症の重症度が変化したという報告は、今のところない。

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