AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)
AERA2022年9月12日号より(イラスト 石山好宏)

 肌を健やかにするためには、外側だけでなく内側からのケアも心がけたい。注目すべきは、肌と腸の関係だ。「肌」を特集したAERA 2022年9月12日号の記事を紹介する。

【図版】今日から始めるケア!17の肌習慣セルフチェックはこちら

*  *  *

 健康な肌の状態を保つには、生活習慣の見直しも欠かせない。

「ツケが回ってきた」

 千葉県に住む30代の男性は、鏡の前で呆然とした。

 SEの仕事が忙しく、家につくのはいつも23時過ぎ。一人分の食事を作るのも面倒で、今やコンビニが冷蔵庫に。アルコールこそ飲まないものの、唐揚げやフランクフルトなどのホットスナックをつい選んでしまう。

 ひげを剃るときに鏡を見たら、以前より吹き出物が増え、肌もくすんでいるように感じた。

「食べたものは肌の状態にダイレクトに反映されます」

 そう話すのは、食品科学が専門の神戸女学院大学の高岡素子教授だ。基本の五大栄養素と呼ばれる糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの摂取はもちろん、ポリフェノールやカロテノイドなども肌状態を改善することがわかっている。裏を返せば、これらのバランスが乱れれば肌は荒れやすくなる。高岡教授は言う。

「特にビタミン類やカロテノイド、多価不飽和脂肪酸は紫外線から全身を保護すると言われています。ビタミンAの摂取量は肌の水分量と相関が高いという報告もあり、バリア機能や保湿にも効果的です」

肌と腸の関係に注目

 肌状態の改善には、「オメガ3」としてもおなじみのn-3系脂肪酸も一役買う。血管を拡張させる効果があるため、代謝アップにもつながる。

 さらに見逃せないのが、n-3系脂肪酸には、抗炎症作用もあることだ。

「私たちが日頃使っている植物油には、n-6系脂肪酸が入っています。実はこの油をたくさんとると、炎症反応が起きてしまう。n-3系の油はその炎症を抑えてくれるので、肌荒れを防げるんです」(高岡教授)

 いいことだらけのn-3系脂肪酸だが、体内で合成することがほとんどできないため、食事から摂取する必要がある。サバやブリなどの青魚に含まれているので積極的に取り入れたい。

 様々な栄養素があるなかで、高岡教授が特に注目しているのが、肌と腸の関係だ。

 美容や健康に関係が深いことがわかってきた「腸内フローラ」は、加齢やストレス、食事によって影響を受けやすい。この腸内フローラのバランスが崩れると、腸と皮膚をつなぐ神経を介して肌状態の乱れにつながるという。

著者プロフィールを見る
福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

福井しほの記事一覧はこちら
次のページ