(photo 埼玉県庁提供)
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 男は肌荒れなんて気にしない──そんな時代はもう終わった。化粧水を使うのは当たり前。日傘も差すし、脱毛だってする。健康的できれいな肌を保ちたい思いに、性別は関係ないのだ。AERA 2022年9月12日号の記事を紹介する。

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 美容といえば、女性のもの。かつてはそんなイメージもあったが、時代は令和だ。意識の変化は数字にも表れている。

 長年メンズコスメ市場を牽引するマンダムが2020年に実施した調査では、40代社会人男性の27.3%が保湿などのスキンケアを使用。17年時点では16.5%だったから、倍とまではいかないものの、じわじわスキンケアへの関心は高まっている。同社広報部の木村彩子さんは言う。

「男性化粧品と聞いて何をイメージするかを尋ねると、かつてはヘアスタイリング剤が一番に挙がりました。それがこの10年ほどで、スキンケアと入れ替わっています」

 このスキンケアブームに拍車をかけたのが、コロナ禍だ。

 今やすっかりおなじみとなったオンライン会議。都内のIT企業に勤める男性(43)はパソコン画面に表示された自分の顔を見てぎょっとした。

「俺ってこんなに老けてたっけ?」

 目の周りにくっきりとした深いシワ。照明のせいか、顔色もどす黒い。隣に並ぶ20代の後輩と比較するのもどうかと思ったが、たった十数年でここまで変わるのかとショックだった。

 それまでは、「なんとなくバシャバシャ」つけるだけだった化粧水を、「浸透」のイメージで使うようになった。男性は言う。

「2週間くらい続けたら、朝、顔を洗うときに肌のザラつきが少なくなりました。今のところシワの変化はありませんが、色々試したいと思っています」

井戸田潤さん(49)/
20代の頃から、芸とともに肌も磨いてきた「美容男子」の顔を持つ。仕事前には毎日サウナへ。この日も、ととのってから現場入り。「遅れちゃってすみません。
1セット減らせばよかった」と井戸田さん(photo 写真映像部・高橋奈緒)
井戸田潤さん(49)/ 20代の頃から、芸とともに肌も磨いてきた「美容男子」の顔を持つ。仕事前には毎日サウナへ。この日も、ととのってから現場入り。「遅れちゃってすみません。 1セット減らせばよかった」と井戸田さん(photo 写真映像部・高橋奈緒)

■「日傘男子」歴5年

 テレワークをきっかけに、自分自身の肌と向き合ったのはこの男性だけではない。

 マンダムの調査では、22%が「コロナ禍でスキンケアに対する意識が高まった」と回答。木村さんはこう分析する。

「37.5%のミドル男性が、オンライン会議で自分の顔の映りが気になったことがあると答えています。乾燥やヒゲを気にする人は以前から多い傾向にありましたが、肌のハリやシミ、シワを気にするという声も増えているんです」

 そのシミやシワの原因になるのが、紫外線だ。

 気象庁は、猛暑が続いた今年の夏を「異常な状態だった」と分析。これらの強い日差しには、当然紫外線もたっぷり含まれている。

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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