大阪中之島美術館の外観。2階レベルにデッキを設け、周囲に広がりをつくる(photo 大阪中之島美術館提供)
大阪中之島美術館の外観。2階レベルにデッキを設け、周囲に広がりをつくる(photo 大阪中之島美術館提供)

 構想から約40年、今年2月に大阪中之島美術館がオープンした。何度も計画をつくり直し開館に至るまでの道のり、特徴的なテーマである「大阪の視点」について初代館長に話を聞いた。AERA2022年9月12日号の記事を紹介する。

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 40年の構想を経て今年2月にオープンした大阪中之島美術館。初代館長の菅谷富夫さんに美術館の魅力を聞いた。

 準備室ができた初期から学芸員として関わり、整備計画の行方を見てきました。大きく3回、方針をつくり替えています。そうして時代の要請に合わせないと、美術館は生き残れなかったでしょう。

 PFIの導入は政策的な判断でしたが、新しい美術館像を検討するなかで企業や大学、NPOなど様々な組織との連携は考えていました。「みんなのまち 大阪の肖像」[第2期]でも多くの企業の協力のもと、1970年代の実物大の工業化住宅を復元してもらって、自分たちだけではできない広がりを実現できました。そんな考えの延長線上にPFIはあり、特にコンセッション方式は民間企業の裁量を大きく認める手法ですがうまくいっていると思います。

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