2018年平昌五輪銀メダル、22年北京五輪銅メダル、22年世界選手権金メダルの宇野昌磨が、オフシーズンの充実ぶりを感じさせる演技を披露した(photo 小黒冴夏)
2018年平昌五輪銀メダル、22年北京五輪銅メダル、22年世界選手権金メダルの宇野昌磨が、オフシーズンの充実ぶりを感じさせる演技を披露した(photo 小黒冴夏)

 シーズンイン間近のアイスショーで、さらなる成長を予感させた宇野昌磨選手。「フレンズ・オン・アイス」のリハーサルで今季の抱負を語った。AERA 2022年9月12日号の記事を紹介する。

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「シーズンオフに新しいプログラムをアイスショーでたくさん滑らせていただいて、あとは大きなリンクで試合でやるだけ、という状態まできています。今季は、けがをせずに1年過ごせば本当に成長するシーズンになると思っています」

 宇野昌磨は8月25日のリハーサル後、ほおを紅潮させながら力強く言い切った。五輪2大会連続のメダルと、2022年世界選手権王者のタイトルを手にした24歳の目に、自信と落ち着きがあふれる。オフシーズンの充実ぶりを物語っていた。

■表現力の幅を広げる

 宇野は4~7月に五つのショーで計40公演をこなし、新しいショートプログラム(SP)とフリーを滑り込んできた。「お客さんがいる場で滑ることは試合につながる」と考え、フリーの曲では4種類の4回転も降りるなど手応えを得ていた。

 だからこそ、8月の「フレンズ・オン・アイス」では次のステップへと進んだ。新しいエキシビションナンバーで表現力の幅を広げることに着手したのだ。しかも振り付けは、元コーチの樋口美穂子氏が3年ぶりに手掛けた。

「3年間という期間のなかで自分にも変化があり、思い出話をしながら振り付けをしていただきました」(宇野)

 樋口氏が宇野のために選んだのは、シャンソンの名曲「Padam,Padam」。宇野が幼少期から師事してきた樋口氏だけあって、“宇野の限界の一歩先”に挑戦させる内容に仕上げている。可動域よりも少し先に手を伸ばしたり、限界まで高速で回転するスピンの後に柔らかい動きを入れたり、減速後に急にスピードを上げたりと、宇野の長所をさらに伸ばそうという親心あふれる“成長のプログラム”だ。

「(現コーチの)ステファン(・ランビエル)の振り付けは、できあがっているものをまねします。美穂子先生は、もっとこういうほうが良いかなと話しあって作る感じ。美穂子先生としかできない関係ですね」(宇野)

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