モスクワ郊外で開かれた国際的な兵器展示会に出席したプーチン大統領/8月15日(photo ロイター/アフロ)
モスクワ郊外で開かれた国際的な兵器展示会に出席したプーチン大統領/8月15日(photo ロイター/アフロ)

 ロシアによるウクライナ侵攻から半年。ロシアは今、国外製品を国産品に置き換えを進めている。プーチン大統領が身に着ける腕時計にも変化があった。AERA 2022年8月29日号の記事から紹介する。

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 プーチン大統領に先月起きた小さな「異変」に、注目が集まっている。

 それは、彼が身につけている腕時計の変化だ。

 プーチン氏は右利きだが、いつも腕時計を右腕に着用している。これまでは、ブランパンやIWCといったスイスの高級ブランドを愛用していた。

 ところが、7月に出席した会議やイラン訪問の際に彼の右手首を飾っていたのはロシア製だったのだ。ロシアメディアによると、ИПФ(イーペーエフ)の略称で知られる帝国ペテルゴフ工房の特注品だ。

 ИПФは、18世紀にピョートル大帝の命で作られた宝石加工工場に源流を持つ、ロシア最古の時計メーカーだ。ただ、スイス製のような世界的名声を勝ち得ているわけではない。

 スイスは永世中立国だ。2014年にロシアがクリミアを占領した際は、対ロシア制裁とは距離を置いていた。

 しかし、今回のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、スイス政府は、欧州連合(EU)と同様の制裁をロシアに科すという異例の決定をした。プーチン大統領、ラブロフ外相を含む政府要人や経済界の大物らを対象とする資産凍結も含まれる。

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駒木明義

駒木明義

2005~08年、13~17年にモスクワ特派員。90年入社。和歌山支局、長野支局、政治部、国際報道部などで勤務。日本では主に外交政策などを取材してきました。 著書「安倍vs.プーチン 日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか」(筑摩選書)。共著に「プーチンの実像」(朝日文庫)、「検証 日露首脳交渉」(岩波書店)

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