※米国株式(S&P500)、全世界株式(MSCI ACWI)のいずれも円建て分配金込みトータルリターンの指数を使い、全期間からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンの分類に基づく各資産の平均信託報酬率を控除。米国S&P500は1926~2022年5月末で計測。現状の500銘柄の形での算出開始(1957年)以降は「S&P500Total Return Index」(円換算の分配金込みトータルリターン)、それ以前はイボットソン・アソシエイツが指数に連続性を持たせた状態で1926年まで遡った「IA SBBI US Large Stock TR USD Ext」を使用。全世界株式は算出開始の1988年1月~2022年5月末で計測、指数名は「MSCI ACWI(Morgan Stanley Capital International All Country World Index)GrossReturn」(円換算の分配金込みトータルリターン)。(c) 2022 Ibbotson Associates Japan, Inc. All Rights Reserved.
※米国株式(S&P500)、全世界株式(MSCI ACWI)のいずれも円建て分配金込みトータルリターンの指数を使い、全期間からイボットソン・アソシエイツ・ジャパンの分類に基づく各資産の平均信託報酬率を控除。米国S&P500は1926~2022年5月末で計測。現状の500銘柄の形での算出開始(1957年)以降は「S&P500Total Return Index」(円換算の分配金込みトータルリターン)、それ以前はイボットソン・アソシエイツが指数に連続性を持たせた状態で1926年まで遡った「IA SBBI US Large Stock TR USD Ext」を使用。全世界株式は算出開始の1988年1月~2022年5月末で計測、指数名は「MSCI ACWI(Morgan Stanley Capital International All Country World Index)GrossReturn」(円換算の分配金込みトータルリターン)。(c) 2022 Ibbotson Associates Japan, Inc. All Rights Reserved.

「世界大恐慌による84%の暴落を現在の資産運用の参考値とするのは、おすすめできません。さすがに当時と今では経済構造や公的なセーフティーネットが違いすぎるからです。現実的な比較対象にできるのはワースト2位以下でしょう」

 となるとリーマン・ショックのマイナス60.7%が“最悪の数値”。これは当時の為替レートも考慮された下落率で、ドル建てのままだと51.8%だった。

 投資信託の積み立てを続ける人の間では「全世界株式」も人気だ。そこで、全世界株式の指数「MSCI ACWI」における暴落ワースト5も掲載した。同指数の算出開始は88年なので、過去34年間が対象。リーマン・ショックのマイナス61.5%がトップだった。こちらも当時の為替を考慮した円建てだが、ドルベースではマイナス54.7%。ワースト2以降は新興国が窮地に陥ったアジア通貨危機、湾岸戦争が続いた。

 株式だけが入った投資信託を積み立てている場合、最悪の状況下では5~6割まで減ることを念頭に置くべきだ。たとえば資産の半分は預貯金に残し、残りをS&P500や全世界株式に投じる形にしてはどうか。そうすれば、リーマン・ショック級の暴落が来ても、資産全体では4分の1の含み損で済む。

「過去におけるいずれの暴落局面でも、株価は回復してきました。企業が利益面で成長すれば、長期的には株価も右肩上がりを描くものなのです」

(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)

AERA 2022年8月15-22日合併号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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