ブラス 結婚式場アージェントパルム ウェディングプランナー・藤井菜実(ふじい・なみ)/1986年生まれ、岐阜県出身。「何かを創り出す仕事がしたい」と大学卒業後に入社。新規接客、打ち合わせ、結婚式当日を一貫して担当するシステムで、2021年に担当数300組を達成(photo 写真映像部・加藤夏子)
ブラス 結婚式場アージェントパルム ウェディングプランナー・藤井菜実(ふじい・なみ)/1986年生まれ、岐阜県出身。「何かを創り出す仕事がしたい」と大学卒業後に入社。新規接客、打ち合わせ、結婚式当日を一貫して担当するシステムで、2021年に担当数300組を達成(photo 写真映像部・加藤夏子)

 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2022年8月15-22日合併号には、結婚式場「アージェントパルム」のウェディングプランナー藤井菜実さんが登場した。

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「自分の仕事は『不要不急』と言われてしまうものだったのか、と。悔しかった」

 2020年春、コロナ禍が始まってすぐ「3密を防ぐ。不要不急の外出、イベントは自粛」という言葉と雰囲気が広がった。結婚式もそのひとつとされ、延期が相次いだ。

 当初は、そのうち収まるだろうと思っていた。一向に収まる気配のない中、あることに気づかされたという。

「新郎新婦には、それぞれ思い描いている未来がある。この日に結婚式をして、翌年に家を建て、その後に子どもを産んで、と具体的なライフプランを立てている方も多い。ただ延期すればいいという単純なことではなかった」

 ウェディングプランナーは、人生には介入できない。けれど、結婚式を通して、幸せにしてあげるのが仕事。この時代に、どうすればいいのか、必死で考え、「披露宴要素を入れた45分の挙式」を練り上げた。

 感染対策を徹底した上で、まず全員がチャペルに集まり、挙式。挙式の中で家族へ手紙と花束を贈り、そのままガーデンに移動してケーキカットをした。希望者のみ、コーヒーと切り分けたケーキを別室で食べてもらっている間に、新郎新婦は素早くカラードレスへのお色直しをして再登場。ゲストを見送った後、親族のみで食事会をした。

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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