イラスト/西田ヒロコ
イラスト/西田ヒロコ

 いわゆる「FIRE」を目指す人の間で定番化しているのが、米国ETFだ。米国市場に上場しているETF(上場投資信託)のことで、日本の投資信託や東証ETFでは買えないものが目白押し。 

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※FIRE…「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとったもので、和訳は「経済的自立と早期退職」

 日本の投資信託や東証ETFとの違いを順番に述べよう。まずは、規模が圧倒的に大きい。

 投資信託やETFの規模を表すのが「純資産総額」(株でいうところの時価総額)だが、たとえば「SPDR S&P500 ETF トラスト(SPY)」は日本円にして約50兆円。億円ではなく“兆円”だ。こちらは特に規模の大きいETFだが、数十兆円、数兆円規模の米国ETFは決して珍しくない。

 日本の投資信託で一番規模が大きいのは、「アライアンス・バーンスタイン米国成長株投信Dコース(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」の1兆8000億円台(2022年8月)。

 つみたてNISAのトップは「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」で、1兆3000億円台(同)である。純資産総額1兆円台でも十分すごいが、米国とはケタが違うことをおわかりいただけるだろう。

 冒頭で「日本の投資信託や東証ETFでは買えないものが目白押し」と書いたが、その筆頭格として私が挙げたいのは「バンガード米国増配株式ETF(VIG)」だ。

 このETFには、米国で10年以上の増配実績(配当を増やし続けている実績)がある、中・大型株が組み入れられている。株主還元に積極的で、高収益な企業を丸ごと買えるETFといえるだろう。

 バンガード米国増配株式ETFを長期保有すれば、価格成長と増配の両方が期待できる。日本円にして2万円程度なので、毎月コツコツ買いやすい。

 もう一つ、「不動産セレクトセクターSPDRファンド(XLRE)」も紹介しておこう。S&P500に属する、大型リート(不動産投資信託)30銘柄に投資できるETFだ。

 米国リートは価格も長期的に成長しており、分配金利回りも優秀。ポートフォリオに「株」ばかりそろえるのではなく、不動産も入れてはどうか? こちらは2022年8月現在、日本円にして5000~6000円で買える。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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