結婚の記者会見をする小室圭さんと眞子さん=2021年10月26日、東京都内のホテル(代表撮影)
結婚の記者会見をする小室圭さんと眞子さん=2021年10月26日、東京都内のホテル(代表撮影)

 日本から離れても注目され批判を受け続ける小室圭さん、眞子さん夫妻。皇族へのバッシング問題について考察する。AERA 2022年8月8日号の記事を紹介する。

【写真】眞子さんが発言している時の小室圭さんの鋭い表情

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 思えば、小室圭さんの登場以前から秋篠宮家へのバッシングは始まっていた。私の知る限り、端緒は「秋篠宮家『紀子妃殿下』氷のごときミーティング」(「週刊新潮」2011年8月11・18日号)だ。これ以前、皇族へのバッシングといえば、病から公務を休みがちな雅子さまへのものだった。だから当初は目先を変えただけのように見えたが、徐々に矛先は秋篠宮家に絞られた。

 その源流は、やはり06年の悠仁さま誕生だろう。「長男ではない」秋篠宮さまの家で、「皇太子妃ではない」紀子さまが男子を産んだ。「じゃない×じゃない=叩いてよし」だ。

 そうとらえると、眞子さんの結婚にあたっての記者会見がまた違って見える。眞子さんは、こう述べた。

<婚約に関する報道が出て以降、圭さんが独断で動いたことはありません。(略)圭さんの留学については、圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作って欲しいと私がお願いしました>

■抜けられないループ

 聞いた当初、圭さんをかばっての発言だと思った。だが、それだけではないと今は思う。秋篠宮家に生まれ、圭さんと出会った眞子さんだから「海外」を拠点としたかった。「じゃない」の枠組みから抜けるために──そんなふうに想像している。

 もちろん「じゃない」は当方の認識だ。が、眞子さんは、日本にいてはバッシングのループから抜けられないと、ある時から確信したのだと思う。それこそが、「じゃない」の箱に入ってしまったつらさ。そして、そのつらさは眞子さんだけのものではない。そうも感じている。

 気づいたら「勝ちか負けか」の社会になっていた。勝つのがえらく、負けたら自己責任。そういう価値観が当たり前になり、同時に「勝ち=オールオッケー」となった。「勝ち=権威」が絶対化し、それへの批判がタブー視される。一方で「攻撃してよし」となった人へのブレーキが利かない。利かせなくてよし、となっている。そこに秋篠宮家があり、圭さんがいる。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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