photo(c)Non-Stop Production, LLC, 2019
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 スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによる証言集『戦争は女の顔をしていない』を原案にした映画「戦争と女の顔」。舞台は1945年、終戦直後のレニングラード。看護師イーヤは男の子を育てているが、ある悲劇で亡くしてしまう。そんななか戦友マーシャが戦地から戻ってくる。実は男の子はマーシャの子だった──。連載「シネマ×SDGs」の14回目は、同作の監督カンテミール・バラーゴフさんに話を聞いた。

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 ノーベル文学賞作家の本、という好奇心から『戦争は女の顔をしていない』を読み、自分がいかに戦争について何も知らなかったかを思い知らされました。特に女性が果たした役割についてまったくの無知だったんです。恥ずかしくなりました。自分を含めたロシアの若い世代に戦争の実態を知ってほしいと本作を撮りました。

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 イーヤとマーシャのキャラクターは本に登場する女性たちから生まれました。彼女たちが受けた傷やトラウマ、子どもを持つことへの思いなど感情面は理解できましたが、男性である自分がどれだけ女性の目線で物語を語れるか?という不安はありました。でも母と姉と一緒に暮らしてきたことが助けになった気がします。それにアレクサンドル・ソクーロフ監督からも、こう教わっていたんです。

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