illustration/土井ラブ平
illustration/土井ラブ平

 何でも会話に割り込む人。あなたの意見を否定する人──。そんな会話クラッシャーたちが、コロナ禍で増殖しています。AERA 2022年7月18-25日合併号の記事を紹介する。

【「会話クラッシャー」にならないように、心がけは?】

*  *  *

 4~5人が集まったリモート会議でのこと。予定があるという編集者が退出する時間まで15分を切り、まずは急ぎの案件だけ、サクサク決めようとしていた時だった。

「あの、ちょっといいですか?」

 画面の中にいたライターが神妙な面持ちで手を挙げ、何事かと思えば、こんな斜め上の話題を切り出すのだった。

「いらっしゃるうちにうかがうのですが、久々にお目にかかったら、なんか別人ですね。もしやダイエット成功とか?」

 時間もないことだし、どんなダイエットをどれくらいの期間やったか簡潔に話し、打ち合わせを軌道修正しようとする大人な編集者。ところがライターはそれでも話題をぐいぐいダイエットに寄せてくる。

「それなら、私がやっている○○ダイエットに通じるものがありますね。え? 今ですか? あはは。ザ・リバウンドですよ。だいたいダイエットっていうのは……(ペラペラペラ)」

 その後、ライターのダイエット談議は15分続き、会議を載せたトラックは、もう見えないほどはるか遠くに走って行ってしまった。もちろん肝心な打ち合わせは何も決まらないまま。編集者は名残惜しそうに、リモート会議から退出していった。

■とにかくぶち壊す!

 このライターこそが、会話クラッシャー、またの名を会話泥棒とも。リアルでもオンラインでも、楽しくスムーズに進んでいた会話を横取りしたり、水を差したり。とにかくぶち壊してしまう人のことを指す。

 以前からある言葉だが、長引くコロナ禍で人と話す機会が減少。久々の会話の間の取り方に戸惑う人が増えるなど、あちこちで令和の会話クラッシュ事例が頻発しているらしい。

 ちなみに仕事の打ち合わせさえ自分のトラックに載せて、またたく間に走り去ってしまった冒頭のライターは、実をいうと私。だって、聞いてほしかったんだもん。

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