──ガンマ波は意識して出すことができるのでしょうか?

 ガンマ波が出るから集中するのか、集中しているからガンマ波が出るのか、それはなかなか難しくて切り分けられません。

 あえて言うなら、一番シンプルな方法は書くということでしょうね。書くと目の前のものしか見えない状態になるので、集中せざるを得ない。書くことでガンマ波は出るわけです。

 あと、机に向かったものの気が乗らなくて作業が進まないとき、私もたまにやるのですが、目を閉じて頭の上にボールが乗っているイメージを思い浮かべるんです。ボールを落とさないようにバランスを取るイメージをしながら目を開けると、視線が定まるので、目の前のことに自然と入ることができます。

 そもそも人はあまり集中できない生き物だと言えるかもしれません。集中力が高いときの脳の様子を見てみると、脳はほとんど活動せず、特定の場所だけパッと光っている状態になります。本来、人間はいろんなことを同時に考えないといけないし、視野を広く持つ必要がある。だから、集中している状態というのは、脳にとっては矛盾している状態とも言えます。

──集中しやすい環境というのは整えられそうです。

 たとえば講義やセミナーでは前に座る。なぜなら、圧倒的にディストラクターが少ないから。後ろに座ると、前の人が気になったり、窓の外が気になったりと気が散るものだらけなんです。実際、前に座っている人のほうが成績が高くなります。

 あとはメールやニュースなどの新着通知のポップアップを切る。集中したいときに集中力のフェーズを乱すものは絶対に排除してください。スマホもそばに置いてはダメです。

(構成/編集部・大川恵実)

AERA 2022年7月18-25日合併号より抜粋