「保護者間でのグループLINEを作成する場合は、目的を参加者全員に説明し、賛同される方のみで」などと細かく書かれ、トラブルを牽制してはいるものの、保護者会との距離感に悩む人は多いのが現状だ。

「でも、やっぱり、保護者会はあった方がいいと思います」

 と話すのは、前出の渡邊さん。自身は3人の子どもを同じ保育園にのべ13年間通わせた。保護者会の活動として、サイズアウトした服などの交換会をしたり、休日に公園へピクニックに出かけたりした。子どもたちを自由に遊ばせながら、大人はビールで乾杯。ただ、それだけのことだったが、横だけではなく縦にもつながりができた。

 行事の後に、グーグルフォームで先生たちへのメッセージを募り、PDFにしてプレゼントしたこともある。保育士にも保護者にも、とても喜ばれたという。

 渡邊さんは言う。

「保育園へ日頃の感謝の想いを伝える場は、意外にない。保護者会は非常に有益なツールです。子どもをよりよく育てるという共通の目的のために、丁寧にコミュニケーションをとりながら、ともに歩みを進めることが大事。保護者会がなくても、園と保護者が情報共有や意見交換を行える風土だけでも持っているといいと思います」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2022年7月18-25日合併号

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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