作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

熱中症対策と節電のお願いのはざまで(イラスト:サヲリブラウン)
熱中症対策と節電のお願いのはざまで(イラスト:サヲリブラウン)

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 6月下旬から早くも酷暑だなんて、今年の夏はどうなってしまうのでしょう。電力消費量を減らさねばならないというのに、命に関わると言っても過言ではない暑さです。

 毎年同じことを言っている気がするけれど、子どもの頃はこんな暑さではなかったような。これじゃあドバイだよ。行ったことないけれど。午前中から30度超えなんて、ちょっと記憶にないもの。

 気象庁のオフィシャルサイトを見ると、2022年の夏の気温が平年より低くなる予報は全国どこも20~30%のようで、8月末までは酷暑続きが確定したようなものと言えましょう。私、このままだと生きていける自信がない。

 当然、7月8月は熱中症に厳重警戒する必要が出てくるでしょう。どこのご家庭も同じ悩みをお持ちでしょうが、うちも親が入れないんだ、クーラーを。困ったものです。

 我が父に限った話かもしれませんが、昔は母と私が冷え冷えになってしまうくらい強めのクーラーを入れるのを好んだ父。よって「クーラーは体に悪い」という迷信を信じているわけではありません。

 それが80歳を超えてからは、それほど必要ないと感じるようになってしまった。これが怖い。どうやら加齢によって、体温変化を若い頃ほど敏感に感じなくなってしまったようなのです。老人によくある傾向です。つまり、体温が上昇していても気が付けない。室内熱中症になってしまう危険度マックス!

 いろいろと工夫をして、熱中症の危険性がある温度と湿度に達するとアラームが鳴るデジタル時計を送ったり、こまめに水を飲むように伝えたりはしています。しかし、究極的には自分で注意してもらうしかない。今年の夏は特に、どこの娘さんも息子さんも親の熱中症を心配して肝が冷える毎日でしょう。肝が冷えてこちらの体感温度が下がってくれればまだよいのですが。

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ジェーン・スー

ジェーン・スー

(コラムニスト・ラジオパーソナリティ) 1973年東京生まれの日本人。 2021年に『生きるとか死ぬとか父親とか』が、テレビ東京系列で連続ドラマ化され話題に(主演:吉田羊・國村隼/脚本:井土紀州)。 2023年8月現在、毎日新聞やAERA、婦人公論などで数多くの連載を持つ。

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