まもなく子どもたちの長い夏休みがやってくる。働く親にとって、子どものスケジュール管理は大きな悩みの1つだ。子どもが自立して過ごせるヒントを教育家の小川大介さんに聞いた。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。
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夏休みのスケジュールで最も大切なのは、親子で理想とする時間の過ごし方を一致させること。子ども側にもイメージがあります。過ごし方を話さないまま夏休みに突入し、親の思いつきで子どもに指示を出して、険悪になるケースをよく聞きます。だから、夏休み前に親子で話し合っておくことが大事です。
そもそも、子どもは大人と比べて時間の感覚が未熟です。40日間ある夏休みを200日間くらいに感じているもの。親が何を言おうが「まだまだ休みはある」とのんびり。意外と時間がないことに後から気づくのです。
そこで、私は夏休みを(1)7月中、(2)お盆まで、(3)お盆休み、(4)夏休み最後の四つのターム(期間)に分けて、期間ごとに何をやるのか計画を立てることを勧めています。いきなり全部の予定は立てずに、まずは第2タームまで。第3タームは「帰省や旅行など家族全員のお休み」、第4タームは「やり残しを片づけて夏休みを満足して終えるための期間」ととらえます。
計画するときは、「夏休みはどんなふうに過ごしたい?」と先に子どもにイメージを話してもらいます。意志の強い子なら「博物館で〇〇を見たい」「プログラミングをたくさんやりたい」などと話してくれるでしょう。「わからない」という子にこそ、慎重に対応を。「わからない=親が決めていい」ことにはなりません。興味がありそうなことをいくつか選択肢に挙げて、本人の反応を見ましょう。
塾の予定や学校の宿題などを含めて期間ごとにやることを決めたら、1日の中でどれくらいの時間をやりたいことに使えるのか、親子で一緒に確認します。
夏休み最初の1週間が肝心。予定通りに進めるほうが難しい。ここでしっかりと調整をしましょう。たとえ、宿題をせずにテレビばかり見ていても、子どもを責めないで、どうすればできるのか相談を。「子どもの自立」は、親の願い。ですが、いきなり行動できるようにはなりません。できる部分は任せて、できない部分は行動を促す声かけや取り掛かるための手伝いをする。これこそが親の役割です。(構成・小林佳世)
※AERA 2022年7月11日号