たかまつななさんらが群馬県立渋川高校で「笑える!政治教育ショー」の授業をした/6月16日(撮影/編集部・井上有紀子)
たかまつななさんらが群馬県立渋川高校で「笑える!政治教育ショー」の授業をした/6月16日(撮影/編集部・井上有紀子)

 参院選が公示され、7月10日の投開票に向けて選挙戦が始まった。選挙のたびに指摘されるのは、若者世代の投票率の伸び悩みだ。若者は選挙についてどう考えているのだろうか。若者投票を呼びかける授業やイベントの現場を記者が訪ねた。AERA 2022年7月4日号の「参院選」特集の記事を紹介する。

【グラフ】参院選の年代別投票率の推移

*  *  *

「18歳になったら、私は投票に行くぞ、国を変えるために選挙に行きたい、そういう方はいますか!」

 全国で主権者教育をする「笑下村塾(しょうかそんじゅく)」代表のたかまつななさん(28)が、マイクを手に大きな声を上げた。

 6月16日、人口約7万4千人の群馬県渋川市にある県立渋川高校の体育館。3年生約200人を対象にした主権者教育の特別授業だ。2015年に選挙権年齢が18歳に引き下げられ、7月10日投開票の参院選で初めて投票に臨む生徒たちもいる。

 たかまつさんの問いかけに、ほとんどの生徒が手を上げた。舞台の上から声がまた響く。

「お~すごい! めちゃくちゃ多い!」

多かった身近な内容

 たかまつさんは授業後、取材にこう答えた。

「今までで一番手が上がりました。印象的だったのは、授業の最後に『社会を変える宣言』をそれぞれ紙に書いてもらったら、やっぱり身近な内容を挙げた人が多かったです。電車やバスの本数の少なさや、学費が高い問題を挙げていました」

 ただ、たかまつさんが「これって政治家が掲げているかな?」と生徒の一人に尋ねると、「わからないです……」と返されたという。

「そもそも自分たちの課題が国政には届かない、自分たちの課題は政策に反映されないと思うから、政治と結びつけて考えられないのではないでしょうか」(たかまつさん)

 同校3年の齋藤諒さん(17)は取材に、こう明かした。

「やっぱり大学の学費が高い。特に理系は高いので、政府がもっと援助してくれたらと思う。かといって政治について調べるかというと、そうではないです。ニュースは見ていますが、どの党が何をしているのかわからない。クラスでも社会情勢の話題は出ますけど、政治や選挙自体の話題は出ないです」

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