AERA 2022年7月4日号より
AERA 2022年7月4日号より

 英国では20日現在、793人の感染者が報告された。性別の分かっている763人の99%(758人)が男性だ。英健康安全保障庁(HSA)によると、感染者152人を対象に行った調査で、151人がゲイやバイセクシュアルなどで、男性とセックスをすると回答した。

 英HSAは5月下旬、男性とセックスをすると回答した感染者に再調査を行い、45人が回答した。44人は発症前5~21日以内に男性とセックスをしていた。20人(44%)は同期間中に出会い系サウナやクラブを訪問し、グループセックスをしていた。

 また、過去3カ月以内に10人以上の相手とセックスをした感染者が20人いた。28人(62%)は、新たなパートナーを見つけるアプリを利用していた。

■国内で感染者出る恐れ

 サル痘ウイルスは、感染者との濃厚な接触や、感染者の体液や発疹部位の皮膚などが付着したものに接触することなどで感染する。米CDCによると、症状が出る前の潜伏期間中は他の人に感染させることはないという。また、飛沫感染は、感染者と長時間一緒にいた場合や、飛沫が大量に発生する処置を行う医療機関以外ではほとんど起こらないと考えられている。

「サル痘」と呼ばれるが、霊長類だけでなく、リスなど齧歯(げっし)類にも感染する。2003年には米国で、アフリカから輸入された齧歯類から感染した、ペットのプレーリードッグを介して約50人が感染した。

 岡山理科大学獣医学部の森川茂教授(ウイルス学)は、こう注意喚起する。

「海外で感染者と濃厚接触した人が潜伏期間中に入国すれば、国内でも感染者が発生する可能性はあります。サル痘が疑われる症状のある人との濃厚接触は避け、その人が使った衣類や寝具などに直接、触らないような注意が必要です。洗剤や石鹸、消毒用アルコールでウイルスの感染性は失われますので、手洗いは予防につながります」

(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年7月4日号

※WHOの情報は6月26日現在のもの