血圧は140未満が基準範囲で200となると危険な状態だが、それでも自覚症状はない。あっても「肩がこる」などで、高血圧特有の症状が出るわけではない。

 糖尿病は空腹時血糖126以上の場合だが、これも症状は出ない。何十年と糖尿病を患って、合併症が起きてはじめて自覚症状が現れる。目の網膜の血管が詰まって失明することもあるし、腎臓の血管がダメージを受けて腎不全になり人工透析が必要になることもある。

「治療しないでいると時間の経過とともに血管がだんだん狭くなり、60代、70代で急に詰まって脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性が高まります」(同)

γ-GTPは脂肪肝も

 予防には塩分を控え、体重減少、運動、禁煙といった生活習慣の改善が基本だが、習慣を変えられない人、効果が出ない人には薬物治療をすることもある。

 動脈硬化以外で気になるのがγ(ガンマ)-GTPだ。この数値は酒を飲むことによって、肝臓にある細胞から生成される酵素の量を表す。ただし飲酒量に正比例するわけではなく、上がりやすい人と上がりにくい人がいる。

 酒を飲んでいないのに数値が高い人は脂肪肝の疑いがある。γ-GTPは酒を飲む人には飲酒量を控える目安になり、飲まない人には脂肪肝のある程度の指標になる。

 貧血になりやすい女性の場合は赤血球の中の血色素量(ヘモグロビン)にも注目したい。

「ヘモグロビンは体の隅々に酸素を運ぶ役割をしています。不足すると体が酸欠状態になりますが、徐々に進行していくためにみんな気づかないんです」(同)

 11.0以下の女性は子宮体がん、子宮筋腫などの存在も考えられる。

 どの項目にも言えるのは「変化が大事」ということだ。昨年と比べて数値が大きく変わっていたら注意したい。(ライター・仲宇佐ゆり)

AERA 2022年6月27日号より抜粋