青木さやかさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)
青木さやかさん(撮影/写真映像部・戸嶋日菜乃)

 場を盛り上げるための「いじり」であっても、いじられた側は傷ついていることが少なくない。いじられてつらいときにどう対処し、いじる人とはどう向き合えばいいのか。「どこ見てんのよ!」で人気を博したタレントの青木さやかさんと、精神科医の和田秀樹さんが語り合った。「いじり」特集のAERA 2022年6月13日号の記事から紹介する。

【写真】青木さやかさんと和田秀樹さんの対談の写真の続きはこちら

*  *  *

──いじられてつらいとき、どう対処すればいいでしょうか。

青木:私の場合は、「仕事としてこれでお金をいただいているんだ」と自分を納得させてきたのかもしれません。誰かに相談するといっても、「だって、それでお金もらってんじゃん」という話ですからね。

和田:私は留学でアメリカに行き、革命的に気持ちが変わりました。アメリカの精神科医は愚痴の聞き役になることが多いのです。夫婦間で愚痴ったときに女性蔑視的な発言になってはいけないから家庭で愚痴りにくい人もいます。そこで精神科医に愚痴をこぼして、気持ちが楽になるんです。

青木:私はパニック症(パニック障害)になったときです。最初に心療内科に行くって言ったとき、ハードルの高さを感じました。(心療内科に行くことを周囲に)どう思われるだろうか、どう見られるだろうかって。慣れたら、なんてことなかったんですけどね。

和田:日本人の多くがそうだと思います。あとは自分の弱みや恥をさらけ出せるような友だちがいるといいのですが、いない人が多い。ただ、日本の場合は、新橋の赤ちょうちんで同僚に上司の愚痴を聞いてもらうみたいな文化がありますよね。「どうも会社の中でいじられてんだよ」「俺もつらいよ」と言える文化があります。コロナでさまざまな自粛要請がなされたときは、それが機能しなかったのですが。

青木:なるほど。

和田:カウンセリングに行ったほうがいいよとか、休んでいいよとか、子どもの頃から学校で教えたほうがいいとも思います。(いじめで)ケガをしたら警察に任せたほうがいいとかも。大人になってからも、職場でつらい目にあったときはそれが大事だと僕は信じています。

青木:学校でも職場でも、「行かねばならない」「休んでいると置いていかれる」という気持ちが、頭の片隅にあります。そういう感覚が、あまり良くないのでしょうか。

和田:周りが気づいて助けてくれることも非常に大事です。本来なら周りの人が気づくべきだと思います。

次のページ