天候不順などの影響でタマネギの値段は前年に比べて約2倍になった(4月の消費者物価指数)
天候不順などの影響でタマネギの値段は前年に比べて約2倍になった(4月の消費者物価指数)

 物価の上昇が続いている。総務省が発表した4月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇。生鮮食品を除いたコアCPIでも2.1%の上昇で、2%以上アップするのは、消費増税の影響を除けば約13年半ぶり。物価の高騰から家計を守るにはどうすればいいのか。AERA 2022年6月13日号の記事から紹介する。

【図版】カップ麺、冷凍食品など、値上げが相次ぐ主な商品はこちら

*  *  *

 第一生命経済研究所主任エコノミストの星野卓也さんは現在の物価局面をこう解説する。

「過去の物価上昇局面と比べ、幅広い品目が値上がりしています。原油価格高騰やウクライナ危機による食料問題に加え、コロナ禍も絡んだサプライチェーンや物流の停滞、人手不足による人件費高騰なども関係している。エネルギーと食料が中心ですが、それ以外にも家電やサービスなど幅広いジャンルに値上げの波が及びつつあります」

 日本銀行はこれまで、物価上昇2%を経済成長の目標に定めてきた。モノやサービスが値上がりすることで賃金が上昇し、さらに消費の活性化につながることを目指していたのだ。ただ、星野さんは現状を「悪い物価上昇だ」と指摘する。

「原油にせよ輸入食料品にせよ、値段が上がっても私たちが払ったお金は海外に流れていくので、国内の活性化につながりません。経済の好循環が起こるものではなく、日銀が目指していた姿とは全く別の状態です」

■「逃げ場」がなくなる

 さらに実際には消費者物価指数(CPI)の数値以上の物価上昇が起きているという。CPIは持ち家に住んでいる人が「借家住まい」と仮定して家賃相当額を支払っているとみなす「持ち家の帰属家賃」が含まれる。現実には家賃は発生しないが、比較的額が大きくCPI全体に影響を及ぼす。

「実際の支出を考えるには、この数値を除く必要があります。帰属家賃はほぼ横ばい傾向で、これを除いた4月のCPIは前年同月比プラス3.0%。すでに公表された東京都区部の5月分の数値も同程度でした。原油価格の動きなど不確定な要素もありますが、今後1年程度、このレベルの物価上昇が続くと考えています」(星野さん)

著者プロフィールを見る
川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

川口穣の記事一覧はこちら
次のページ