投資先が同じなら、あとはコストと規模です。信託報酬が安いものを選ぶ。そして純資産総額(規模)が大きいもの。投信って、大きいほうが運用しやすいんですよ。たくさんお金があったほうが、買ったり売ったりしやすいんですね。

 純資産総額が伸びている投信は、運用が好調で、かつ投資家のお金も集まっているってことです」

■信託報酬0.2%以下なら合格 

 最近は投信ブームが過熱し、SNSなどでは信託報酬にこだわりすぎている人も見かける。「こっちのファンドのほうが0.01%安い!」「信託報酬には表れていない隠れコストがあるからダメだ!」と特定の投信を否定する。

「丁寧に調べるのはいいのですが『信託報酬バカ』にならないように……。もちろん信託報酬が0.5%の投信と0.1%の投信を比較すれば成績に差がつきます。しかし信託報酬0.2%以下の投信なら合格だと思いますよ。大事なのはリターンですよね?」

 A投信とB投信で、A投信のほうが信託報酬は0.05%高い。でもリターンもA投信のほうがB投信より上、といった例は珍しくない。運用成績は信託報酬ですべてが決まるわけではないのだ。

「つみたてがスタートしたら、もう余計なことはしないでくださいね。『下がってきたから買うのをしばらく休もうかな』『この投信は成績がすごく上がっているみたいだから乗り換えようかな』とか、そういうのいらないです。

 下がっているときこそ安く買えるチャンスですから放置。ちょっと成績が上がってきた投信を渡り歩くのもおすすめしません。つまり投信のつみたて中って実は暇なんです。仕事しましょう、遊びましょう」

(編集・文/綾小路麗香、伊藤 忍)

※『AERA Money 2022夏号』から抜粋