公認会計士の山田真哉さん。2018年にYouTube「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」を開始、チャンネル登録者数は41.7万人(2022年5月10日)(撮影/写真部・張 溢文)
公認会計士の山田真哉さん。2018年にYouTube「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」を開始、チャンネル登録者数は41.7万人(2022年5月10日)(撮影/写真部・張 溢文)

 公認会計士の山田真哉さんが著した『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(光文社新書)は会計学のエッセンスを平易に説明した名著。2005年2月の初版からビジネス書としては異例の165万部を売り上げた。山田さんはその後、執筆活動を減らしはじめた。現在は完全にネットへ軸足を移している。

【注目】山田真哉Youtubeチャンネル

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 テレビや雑誌への登場を減らし、ユーチューブに自前のチャンネル「オタク会計士ch【山田真哉】少しだけお金で得する」を開設した山田さん。税金や年金、投資などお金と暮らしの話題をやさしく解説するスタイルが人気となり、今ではチャンネル登録者数が40万人を超える。

「200人から伸びない期間が長かった」。ユーチューブの動画配信スタートは2018年12月。ラジオのレギュラー番組を持ち、テレビ出演もしていたので知名度は申し分なかったはずなのに。

「登録者数1000人くらいは、すぐ達成できると思っていました」

 しかしネットの世界は甘くなかった。

「登録者数200人って、ほとんどが古くからの友人や仕事仲間ってことなんです。動画をアップしても普段からの知り合い以外は見ていない……。

 何度か心が折れそうになりつつも50本の動画をアップしました。1000人の壁を突破するまでに半年かかった。本やラジオの知名度はネットでは全く通用しなかった」

 より多くの人に支持されるには、結局、ちゃんとした動画を作り続けるしかない。山田さんは本気を出した。プロならではの正確な情報を、わかりやすく、丁寧に。

 配信スタートから1年近くが経過した2019年11月、登録者数を1万人の大台に乗せた。当時は個人の情報発信がブログから動画に移る過渡期で、ビジネス系ユーチューバーが話題になっていた頃でもある。山田さんは「スタートが遅すぎたかな」と思いながらも、「いいものを発信していれば視聴者はついてくる」と信じた。

 はじめて「バズった」動画は「NISAとiDeCoを5年やった結果こうなった」。「やってみた系」と呼ばれる実体験の人気ジャンルで、ダンスや歌なら「踊ってみた」「歌ってみた」、料理や日曜大工なら「作ってみた」が定石である。

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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山田さんのYouTubeの収益はいくら?