ウクライナに侵攻したロシア軍は再編成して東部に兵力を集め、親ロシア派支配地域があるドネツク・ルハンスク両州などで進軍する。今後の戦いはどうなるのか。ロシアの狙いは何なのか。参議院議員(日本維新の会)鈴木宗男さんが解説する。AERA 2022年5月2-9日合併号の記事を紹介する。

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 まず大前提として、武力による国家主権への侵害はあってはならないことです。

 一方で、「ウクライナは善良な被害者であり、ロシアが悪い」という一方的な見方には強い違和感を覚えます。

 2014年春から続いていたウクライナ東部での政府軍と親ロシア派武装勢力との停戦を目指し、15年にドイツとフランスが仲介した「ミンスク2」という包括的な和平合意があります。この合意を履行しなかったのは、ロシアとウクライナのどちらだったのでしょうか。

 昨年10月23日、ウクライナが親ロシア派側に自爆ドローンを飛ばしたことで一気に緊張感が高まったことが、今回の紛争の引き金です。

 外交とは歴史の積み重ねです。約束を破ったのは誰なのか、守ったのは誰なのか、公平に見る必要があります。

 現在、ロシア軍が東部地域の兵力を増強しているという情報があります。そこには多くの親ロシア派の人々が暮らしています。

 実際、70万人がロシアの国内パスポート(14歳以上のロシア国籍保持者に発給される)を持っていますし、ロシアへの愛着は非常に深いわけです。プーチン大統領はミンスク合意が履行されず、このままでは自国民がウクライナに攻撃されてしまう、と考え、ロシアとロシア国民を守るために侵攻したと言っています。

 そんなロシアに対して経済制裁が始まっていますが、屈強な国ですから、そう簡単には倒れないでしょう。ロシアがウクライナ南部のクリミアを併合した14年にも経済制裁はありましたが、ビクともしませんでしたから。

 一方、ウクライナには欧米から武器の援助が行われています。これでは互いに犠牲者が増え続け、紛争は長引くばかりです。実際もう2カ月が過ぎました。

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