渡辺謙(わたなべ・けん、左):1959年10月、新潟県出身。84年「瀬戸内少年野球団」で映画デビュー。映画「ラスト
渡辺謙(わたなべ・けん、左):1959年10月、新潟県出身。84年「瀬戸内少年野球団」で映画デビュー。映画「ラスト サムライ」でハリウッドデビュー。日米の映画、ドラマ、舞台など多方面で幅広く活躍/Ansel Elgort:1994年3月、米ニューヨーク出身。2013年「キャリー」で映画デビュー。出演作に「ベイビー・ドライバー」「ウエスト・サイド・ストーリー」など(撮影/篠塚ようこ)

 ドラマ「TOKYO VICE」が4月24日から放送される。マイケル・マンが第1話の監督、製作総指揮を務めた「規模としては映画」(渡辺謙)というクライムサスペンスだ。主演のアンセル・エルゴートと渡辺が語り合った。AERA2022年4月25日号から。

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──アンセルが日本の大手新聞社に入社した新聞記者ジェイクを、渡辺が刑事の片桐を演じる。

渡辺:実は、僕は「このドラマに協力をしてくれないか」というところから始まったんです。舞台「王様と私」をやっていた頃だったので、6、7年前になると思います。片桐役の要請はあったものの、当初は出演を決めていませんでした。出演を決めた理由は、一つが1990年代の話だったこと。もう一つが、単純にヤクザの抗争を追いかける刑事ではなく、米国人の若者の新聞記者が見たダークサイドという設定におもしろみを感じたことでした。

アンセル:(日本語で答える)僕はいつも東京で何かやりたいと思っていました。東京はすごい街ですし、とても美しい。僕も舞台が90年代と聞いて興味が湧きました。携帯電話もない、今とは違う時代です。僕は挑戦することが大好き。日本語を話さなくてはならないと聞いて、ますますやる気になりました。大変だなんて思いません。新しいことを学ぶのが大好きなんです。それが僕をさらに成長させてくれますから。

■伝統的な旅館がいい

──撮影は全編日本でのオールロケだった。

渡辺:ロケ現場で泊まりの撮影があったんです。いくつかホテルの選択肢があって、アンセルは「伝統的な旅館がいい」と言ったんですが、そのあたりにはそういう旅館がない。それでもアンセルは日本の伝統的な旅館に泊まりたいと。で、「どうだった?」と聞いたら、「寒かった」って(笑)。

アンセル:快適ではありませんでしたし、大変でした(笑)。でも、伝統的な家に泊まることができ、とてもいい経験でした。

■日本人と毎日話した

──ジェイクは東京の大学を卒業し、入社試験を突破して新聞社に入社したという設定だ。作中では漢字も書く。来日会見でも個別取材でも、流暢(りゅうちょう)な日本語に驚かされた。日本人の先生について毎日4時間、長い時は6時間、日本語を学んだという。

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