筑波大付属高校の入学式を前に、新生活への抱負を語った秋篠宮家の長男悠仁さま/4月9日、東京都文京区で
筑波大付属高校の入学式を前に、新生活への抱負を語った秋篠宮家の長男悠仁さま/4月9日、東京都文京区で

 4月9日、秋篠宮家の長男・悠仁さまが筑波大付属高校に入学した。皇族が学習院以外の高校へ進学し、幼稚園から高校まで男女共学で学ぶのは、戦後初となる。AERA2022年4月25日号から。

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 秋篠宮家の長男悠仁さまは4月、筑波大学付属高校の1年生になった。合格が発表されたのが2月16日。入学式は4月9日。それらを伝える記事には、必ずこういう文章が添えられた。

「皇族が学習院以外の高校へ進学するのは、戦後初めて」

 だが実は、もう一つの「戦後初めて」がある。「皇族が幼稚園から高校まで男女共学で学ぶのは、戦後初めて」なのだ。

 筑付は共学だ。そしてお茶の水女子大学付属も、悠仁さまが通った中学までは共学。学習院の場合、共学は初等科までで中等科からは男女別=戦後初の幼稚園から高校まで男女共学。

 先の話をすると、悠仁さまは順当に行けば3年後に大学生になる。女子大はあるが、男子大というのは聞かない。つまり悠仁さまは「幼稚園から大学まで男女共学で学ぶ、戦後初めての皇族」になる。そして悠仁さまは皇位継承順位2位という立場だから、将来日本には「一貫して共学育ちの天皇陛下」が誕生することになる。

 これってば、すごくないですか? と、個人的には思う。

 だが、悠仁さまの筑付進学への風は、アゲインスト強めという様相だ。学習院なら皇族の受け入れに慣れているし、皇室に親しみを持つ生徒も多い。そういう指摘に加え、将来の天皇に必要なのは、偏差値より帝王教育という意見もあった。

 ということもこれあり、象徴天皇制を研究する名古屋大学大学院の河西秀哉准教授に「帝王教育」のあり方について尋ねた(「アエラ」3月7日号)。返ってきたのは、「象徴天皇制は時代と共にあり、天皇になる人への教育を決めるのも時代の流れ」という見解だった。それならば、時代の流れはどこに?

 と、ここで紹介したいのが、「悠仁さま、筑波大付高に入学 初の宮さま、学舎の警備強化」(4月10日、毎日新聞朝刊)という記事だ。入校者へ身分証明書の所持を求めるなど筑付の警備体制強化を紹介しているのだが、中にこんな記述があった。

<今年2月には、天皇陛下や皇族の警備を担当していた警衛課幹部を、筑波大付属高が管内にある大塚署の署長に充てる人事を発令した>

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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