「一時不停止」などAIが解析した危険シーンは地図上でマッピングされる(写真:モビリティテクノロジーズ提供)
「一時不停止」などAIが解析した危険シーンは地図上でマッピングされる(写真:モビリティテクノロジーズ提供)

 白ナンバーのトラックによる飲酒運転が起こした痛ましい事故が引き金となり、4月から改正道路交通法施行規則が順次施行される。どうすれば自動車による悲惨な事故は減るのだろうか。その対応策の一つがドライブレコーダーの導入だ。「事故を減らすため」の次世代のドラレコも生まれている。AERA 2022年4月11日号の記事を紹介する。

【写真】クリックすれば「脇見をしているな」など状況が客観的に判断できる

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 タクシーやトラックといった運輸業以外の顧客の送迎などで社用車を使う一般企業にも、AI(人工知能)を活用した次世代型のドライブレコーダーの導入が広がりを見せている。冒頭に挙げた企業の安全運転管理の厳格化の流れがあるからだ。

 放課後等デイサービス「toiro(トイロ)」を神奈川県内で展開するアンダンテは、昨年10月から、タクシー配車アプリ「GO」で知られるモビリティテクノロジーズが開発したAIを搭載した「事故防止支援サービス」のドラレコ「DRIVE CHART(ドライブチャート)」をトライアル導入した。

 放課後等デイサービスは、発達などに障害のある子どもたちを放課後に預かって支援を行う事業で、学校や自宅とサービス拠点との間で送り迎えが発生する。トイロに専任のドライバーがいるわけではなく、スタッフが回り持ちで運転している。

 トイロ金沢文庫(横浜市金沢区)の教室長・渡部幸太郎さんが説明する。

「運転に関わるのはスタッフ12人中8人です。子どもたちの家を3~4軒回って送り届けるので、ルートも毎日異なります。私自身も週4回ほど運転しますが、子どもを乗せて運転するのは神経を使いますし、最後の子の家に向かう頃には焦りも出てきます」

 スタッフは発達支援や児童のケアに関するプロフェッショナルだが、運転のプロではない。人によっては運転そのものが久々だったり、8人乗りや7人乗りといった大きい社有車の運転に慣れていなかったりもする。

 幸いなことに大きな人身事故などは起きていなかったが、電柱で擦ったり縁石に乗り上げたりといった軽い車両事故の数は決して少なくなかった。

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