AERA2022年3月21日号より
AERA2022年3月21日号より

 自分の市場価値を上げるため、新たな知識や技能を獲得したいと思うビジネスパーソンも少なくないはず。これまで積み上げてきたスキルを軸に、何を学べばいいのだろうか。AERA 2022年3月21日号は、専門家におすすめの資格を聞いた。

【図表】知識だけじゃない!資格・検定の6つのメリットはこちら

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 何を学ぶにしても目標があると継続しやすい。助けになるのが資格・検定だ。

「簿記検定2級の試験を6月に受けると決めれば、レベルと期限が設定できてモチベーションが持続する。受験用の参考書が出版されているから効率的に勉強できるし、問題を解くことで自分の弱点がわかります」

 と資格コンサルタントの鈴木秀明さん(40)。中小企業診断士、行政書士から、きのこ検定1級まで810以上の資格を持つ。

 資格の選び方は年代別で違う。もちろん職種などによるが、若いうちに取りたいのが、簿記検定2級、TOEIC、宅地建物取引士など、ビジネスの基礎となるものだ。

「自分が積み上げてきたものに何をプラスすればオリジナリティーが出せるか、弱点を補うには何を学べばいいか、それぞれに必要なものを選択してほしい」

 と、鈴木さん。ネコにくわしい建築士のように、異分野を組み合わせて存在感を高めることもできるという。

■資格は本気度を表す

 マイナビで転職活動の支援をしている野澤綾子さんも、

「TOEICは600点が基準。英語を使う仕事の場合は700点、800点以上を求められることが多いですね」

 と語る。転職市場では業界での経験が問われ、資格はプラスアルファという位置づけだが、人手不足のIT業界では、基本情報技術者の資格を持つ異業種の人が、経験者と同じように転職に成功する例もあるという。

「ITの仕事に就くために本気で勉強して、資格まで取っている姿勢が企業に評価されたのだと思います」

 コロナの影響でリモートワークが可能なIT業界を志望する人が急増し、汎用性のあるITスキルを身につけて、いずれはフリーランスで働きたいという人も多いそうだ。

 資格・検定は時代を反映して新しいものが続々と誕生している。前出の鈴木さんは言う。

「やはりここ数年はAIやプログラミング関連の試験が増えている。注目されているのが日本ディープラーニング協会のG検定。AIの基本的な理論を勉強するもので、年3回、オンラインで受験できます」

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