※写真はイメージです(GettyImages)
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 アイドルグループHey! Say! JUMP・高木雄也の初単独主演舞台「裏切りの街」が、東京・新国立劇場で上演中だ。コロナ禍の今、演じられる喜びが全身にみなぎっている。AERA 2022年3月21日号から。

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――アイドルグループHey! Say! JUMPの高木雄也にとって初の単独主演となる舞台「裏切りの街」が開幕した。当初は2020年に上演される予定だったが、新型コロナの影響で延期となっていた舞台だ。

 高木としても待ちに待った公演。しかし、オファーが舞い込んだ際に抱いた感情は、戸惑いだったという。

高木:最初は“いや、これはできるのか?”と。“やっていいのか?”というほうが近かったかもしれません。

――その理由は、戯曲にある。高木が演じる主人公の菅原裕一は、東京在住の無気力なフリーター。バイトをクビになっても新しい仕事は探さず、同棲中の彼女・里美(萩原みのり)のヒモとして退屈な毎日をやり過ごしている。ある日、出会い系サイトで専業主婦の智子(奥貫薫)と知り合い、お互いのパートナーを裏切り、肉欲の沼へと溺れていく──。

高木:クズ人間のような役をやることに全く抵抗はありませんでした。ただ、戯曲の中に激しい性描写が出てくるんです。これをアイドルがやっていいのか、と。特にうちはジャニーズの中でもわちゃわちゃグループというか、アイドルど真ん中を走ってきたグループなんです。ファンの方に、初めての姿を見せることになるから、どう受け取ってくれるのか不安でした。

 でも、そもそも事務所的にはオッケーだから来た仕事なんですよね(笑)。

“ジャニーズがやっちゃいけないんじゃないか?”ってブロックをかけていたのは、自分なんです。自分で自分の殻を破るというか、ステップアップするのにすごく大切な作品になりそうだと感じて、絶対にやりたいと思いました。

■愛されるバカを目指す

――本作は、岸田戯曲賞作家・三浦大輔の代表作だ。初演時(10年)の菅原裕一役は田中圭、ドラマ・映画版(16年)の主演は池松壮亮。演技派として知られる俳優たちが、「リアル」を徹底的に追求する三浦の厳しい演出のもと、この役に挑んできた歴史がある。

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