保育園で提供されるさまざまな習い事。親たちの教育熱も背景にはあるようだ(gettyimages)※写真はイメージ
保育園で提供されるさまざまな習い事。親たちの教育熱も背景にはあるようだ(gettyimages)※写真はイメージ

 保育園で習い事を提供するケースが増えている。親からは便利だと歓迎される向きもあるが、「強制」には疑問の声が。選択制でも問題点はある。AERA2022年3月14日号の記事を紹介する。

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「近く、保育園で英語のレッスンが始まるらしい。それも、1カ月2万円で」

 神奈川県で2人の子どもを育てる男性は、上の子どもが0歳で入園ししばらくすると、保護者との会話でそんな話を耳にするようになった。男性の子どもが通う認可保育園は、長く公立の保育園だったが、上の子どもが入園した年から民間事業者が市から委託され運営するようになっていた。

■共働き親の罪悪感

 習い事を希望するか否か、事前アンケートはなかった。なぜ「英語」なのかもわからない。下の子の入園のタイミングに合わせ、説明会に参加すると、重要事項説明書の内容から4、5歳児の英語レッスンは必須で、入園を決めた時点で拒む権利はないのだと知った。

 カリキュラムの内容を聞くと、外国人講師が常駐するわけではなく、「2万円」になる理由も不明。2019年に幼児教育・保育の無償化がスタートすると、「無償化により浮くことになった分が請求されるようなものではないか」という疑念を抱くようになった。男性は、市の保育課に相談し、何往復ものやりとりを経て、保育のコアタイムでは追加徴収をしてはいけない、という判断がなされた。けれど、いまもモヤモヤした気持ちは消えない。

 男性は言う。

「習い事がお金儲けの手段になってしまうのは問題だな、と思っています」

 近年は、保育園の保育時間内に、希望者に対して民間事業者が体操や英語などの習い事を提供するケースは増えている。共働きの親は、送迎なしで習い事ができると歓迎する向きもある。「忙しくて、子どもにさまざまな経験をさせられない」という罪悪感も薄れる。

■保育の質向上が大事

 ただ、前出の男性のようにそれが「強制参加」「強制徴収」となると、問題は違う。

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