のだ・せいこ/1960年生まれ。岐阜県議会議員を経て93年衆院議員初当選。現在は孤独・孤立のほか女性活躍やこども政策などの担当大臣も務める(撮影/写真部・高野楓菜)
のだ・せいこ/1960年生まれ。岐阜県議会議員を経て93年衆院議員初当選。現在は孤独・孤立のほか女性活躍やこども政策などの担当大臣も務める(撮影/写真部・高野楓菜)

 昨年2月に日本に「孤独・孤立対策担当大臣」のポストが誕生して1年が経った。一人暮らしが世帯全体の4割近くを占め、「社会的孤立」の問題が指摘されていたなか、長引く新型コロナの影響でつながりの機会が失われ、問題は深刻さを増している。国は社会的孤立の状況をどう受け止め、どのような取り組みを進めていこうとしているのか。世界で初めて大臣を置いた英国の孤独対策に詳しく『孤独は社会問題』(光文社新書)を出版したジャーナリストの多賀幹子さんが、野田聖子・孤独・孤立対策担当大臣に聞いた。AERA 2022年3月7日号は「孤独」特集。

【孤独が引き起こす健康や経済への意外な影響はこちら】

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──孤独・孤立の問題はなかなか手ごわいですか。

 私は昨年10月に担当になったので、5カ月ほど経ちました。最初に「孤独・孤立」と言葉で聞いたときは距離感を感じたけれども、これまで女性や子どもに関する政策に力を入れてきて、DVや児童虐待などさまざまな問題の背景に、孤独や孤立もあると考えられ、自分がすでに手掛けている仕事の解決の場所なんだと思いました。まさに政治がなすべき仕事と理解しています。

孤独は社会全体の問題

──2018年に英国が世界で初めて孤独担当大臣のポストを作ったとき、孤独は健康に悪影響を与え、経済的損失も大きいことを前面に出しました。例えば、孤独な人はたばこを1日15本吸うのと同等に命を縮め、うつ病などで働けなくなるため経済的損失も大きいと。日本の場合、何に重点を置いていますか。

 いまは英国の孤独担当大臣がなくなってしまって。私は世界で唯一の孤独・孤立対策担当大臣。先駆者の分も背負って、前へ一歩二歩でも進めていきたい。私が取り組んでいるのは、孤独・孤立を個人の問題にすることなく、社会全体の問題と捉えてもらうこと。経済や福祉をはじめ、日本の歩みに負荷を及ぼすんだという共通認識を国民の間に作っていくことです。自分事だと受け止めてもらえるような政策も出していきたい。

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「廊下を1人で歩いていると…孤独でしたね…」