EVにコンバートした1957年製の「メッサーシュミットKR200」。その傍らで満足げなOZモーターズ代表の古川治さん(photo OZモーターズ提供)
EVにコンバートした1957年製の「メッサーシュミットKR200」。その傍らで満足げなOZモーターズ代表の古川治さん(photo OZモーターズ提供)

 電気自動車(EV)が世界の一大ブームになっている。乗り遅れるなとばかりの勢いだが、選択肢に限りがある。それなら自慢の愛車をEVにしてしまえ。AERA2022年3月7日号の記事を紹介する。

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 世界的なトレンドを見据え、エンジン車から電気自動車(EV)への乗り換えを考えている人も多いはずだ。とはいえ、ネックもある。充電施設の不足や車両価格の高さに加え、お気に入りのデザインの車に出合えないことも、EVの購入をためらう理由の一つだろう。

 そんな人に、「もう一つの選択肢」になりそうなのが、「コンバートEV」だ。既存の車のデザインを維持したまま、最新のEVにカスタムできるとあって、ヴィンテージカー愛好者らの注目を集めている。

「情緒的・感性的価値が高いヴィンテージカーをEV化することで、クリーンなエコカーとして現代に再生する取り組みであることを高く評価した」

 2021年のグッドデザイン賞選考会でこう称賛されたのが横浜市の「OZモーターズ」だ。

「合法改造」を突き詰め

 金賞を受賞した代表の古川治さん(50)は「受賞は全く予想していなかったので正直ビックリしました。デザインだけでなく、プロジェクトの意義もしっかり評価していただいたのはうれしい」と話す。

 同社は車のアフターパーツを扱う会社として1993年に創業した。量販店が扱わない海外の部品をそろえ、排ガス規制に適合させるカスタマイズも手がけるなど、業界やクルマ好きの評判を得てきた。古川さんが一貫してこだわったのは、車検に通る「合法改造」だという。

「日本では改造といえば、『違法』というイメージがつきまといます。ビジネスとして信頼を得るには、これを変えないといけない、と創業当時から考えていました」

 転機はトヨタの「プリウス」をはじめとするハイブリッド車の普及だ。メーカーとユーザー双方の環境志向が高まるのを目の当たりにした古川さんは「コンバートEV」に着目する。

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渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

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