AERA2月7日号の表紙を飾った松村北斗
AERA2月7日号の表紙を飾った松村北斗

 朝ドラ「カムカムエヴリバディ」でヒロイン・安子が運命の出会いを果たす雉真稔を演じた松村北斗さんがAERAに登場。「今置かれている状況は、ジャニーズでないとありえません」と断言した。AERA 2022年2月7日号から。

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 昭和の好青年を体現すると松村北斗になるのか!それほど、朝ドラ「カムカムエヴリバディ」の雉真稔は適役だった。

 稔役で得たものは何だったか。尋ねると、4分近く一気に話し続けた。自分の内にない感情をどう表現するか、監督と自身の考えの相違に悩んだこと。スピード感ある展開の中で一つ一つの演技を的確に表現するのに追いつこうと必死だったこと。現代とは異なる英語や岡山言葉に苦戦したこと……。視聴者の心を掴んで離さなかったのは、そんな葛藤が稔に滲んでいたからだろうか。

「すべて良い思い出になりつつありますが、やはり悔しい思いもあります。これからものすごく成長して、また朝ドラに出演したい。何か恩返しをしたい」

 俳優デビューして10年。芝居の面白さに明確に目覚めたのは実は最近、2019年の春ドラマ「パーフェクトワールド」と言う。松坂桃李演じる主人公の友人役で出演。義足で生活を送るという難役に挑んだ。現場ではとにかく松坂の芝居をずっと見て学んでいることが多かった。わからないながらも急に、

「『(芝居って)これか!』とハッとしたんです。自分がお芝居を面白いと思っていることに気付きました」

 演技をするほど答えのない迷宮へはまり込んでいるかのようだが、「純粋な俳優志望だったら多分、ジャニーズにはいない」と明言する。

「グループでCDを出しアルバムを制作し、ツアーで全国を駆け巡る。ジャニーズのグループSixTONESだからできる音楽もたくさんあります。その上でお芝居もできる。どれも自分から引き抜くことができないものばかり。俳優とアイドル、その時々で自分の一番強い武器をパフォーマンスに投影し、今しか見られないものを見てもらう。それが僕の個性につながると思う」

(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2022年2月7日号