※写真はイメージ(gettyimages)
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 消費税や所得税の税率を引き上げるような増税ではなく、社会保障の負担を増えるかたちで国民負担が増えている。会社員であれば、給与から天引きされてしまいわかりにくい。負担額は増税に比べれば少ないが、目立ちにくい。そんな“サイレント増税”から、身を守る方法はないのか。AERA 2022年1月31日号は、税のプロに対策を聞いた。

【写真】給与天引き一覧 毎月の負担は増え続ける?

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 税理士の立場から、大河内薫さんにも話を聞いた。

「国際的に比較した場合、日本の税率が目立って高いわけではありません。ただ、社会保険料は高いほうです。少子高齢化が進んでいるので仕方がないという考え方もできますが……。節税手段などが限られている会社員の方が、最も“ワリを食う”ことになります」

 人口ピラミッドに大きな変化が生じない限り、私たち庶民の手取りの収入が削られていくのは必然。だからこそ、積極的に自己防衛策を講じることが不可欠、と大河内さんは訴える。

「サイレント増税という“敵”から身を守る方法について、自分自身で学び、守りを固めることが求められます。給与明細に記載されている内容をまったく理解できないような状態では、負けて当然かもしれません」

AERA 2022年1月31日号より
AERA 2022年1月31日号より

副業は天引きされない

 とはいえ、難しく考える必要はない。大河内さんもユーチューブなどでお金の知識について情報発信しているが、通勤中の電車時間などを使ってスマホで勉強するのはいい方法だ。

「徴収する側の攻撃パターンが単純であるだけに、防御もしやすいと言えるでしょう。たとえば残業をしないでその時間を副業にあてれば、少しぐらい収入が増えても問題なし。社会保険料は原則、本業の所得水準をもとに算定されるので、天引きされる額は増えないからです」

 iDeCo(個人型確定拠出年金)は個人でも所得税を減らせる。ふるさと納税は厳密には節税とならないが、返礼品が暮らしの助けになる。

 総じて、知らない人は損する半面、知っている人はうまく立ち回っているのである。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)

AERA 2022年1月31日号より抜粋

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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