コロナ禍の2020年、千葉興業銀行はオンラインでインターンシップを開き、相続対策のニーズを考えるグループワークなどをした(写真:千葉興業銀行提供)
コロナ禍の2020年、千葉興業銀行はオンラインでインターンシップを開き、相続対策のニーズを考えるグループワークなどをした(写真:千葉興業銀行提供)

 コロナ禍で、地元や地方での就職に関心を持つ学生が増えている。オンライン就活で、地方企業にも気軽に応募できるようになったからだ。ただ、東京など大都市と比べてキャリア選択の幅が狭いという課題が残る。AERA 2022年1月17日号の記事を紹介する。

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 北陸の大学3年の女性(21)は昨年11月、就職活動の予定をびっしりと詰めていた。朝から東京の会社説明会に出席し、10分間の休憩を挟んで北陸のインターンシップ先と面談。いずれもオンラインを活用した。アルバイトがある夜まで、パソコンの前にかじりついている日もある。

「地元の首都圏で就職するつもりですが、北陸の知らない企業でも面白そうなら気軽にオンラインイベントに参加します」

「就職の明治」として名高い明治大学・就職キャリア支援センターの原口善信さんも、例年より地方への関心が高いと話す。

「2020年の学内Uターンガイダンスには、前年の2倍以上が参加しました。Uターンへの意識は高まっていると思います。地方企業で内定が目立つのは、地銀と有名メーカーです」

 オンライン就活が主流になったコロナ禍で、地方企業と学生の出合いが増えている。マイナビキャリアリサーチラボ・主任研究員の東郷こずえさんは、22年3月卒業予定の大学生・大学院生5910人に調査した結果について話す。

「地元就職の希望者が5年ぶりに増加に転じました。ここ数年、学生にとっては売り手市場で地元で就職する意識が薄れていました」

■他エリアの応募者増加

 マイナビの調査(3440社)によると、37.7%の企業がコロナ禍前と比較して「他エリア在住の応募者が増えた」と回答し、「同じエリア在住が増えた」(計14.1%)を大幅に上回った。前出の22年卒者への調査では、「働く場所が自由になった場合」と仮定すると「東京に住みたい」学生は12.7%で、前年比2.4ポイント減。一方で、「地方に住みたい」は57.0%で前年比2.2ポイント増えた。

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