コロナ禍に入り2回目の年越しを前に、JR東京駅の新幹線改札口はマスク姿の帰省客で混み合っていた/2021年12月29日
コロナ禍に入り2回目の年越しを前に、JR東京駅の新幹線改札口はマスク姿の帰省客で混み合っていた/2021年12月29日

 国内でも感染者が再び増加に転じている。オミクロン株の入院が必要になるリスクは既存のウイルスより低いという報告もあるが、ワクチンや既存薬の効果も低下するだけに油断はできない。AERA 2022年1月17日号から。

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 国内の新型コロナウイルスの新規感染者数は1月5日、2638人になり、約3カ月ぶりに2千人を超えた。欧米に比べれば少ないものの、年末年始の休みを機に、国内でも感染者が増加傾向に転じたのは明らかだ。

 その中でも従来のデルタ株よりもさらに感染が広がりやすいオミクロン株への感染が増えている。海外の状況をみれば、いずれ国内でもデルタ株がオミクロン株に置き換わっていくと考えられる。

 9割以上がオミクロン株に置き換わったとみられる英国の健康安全保障庁は、2021年12月31日、病院への受診や入院が必要になるリスクをオミクロン株と従来のデルタ株で比較した報告書を公表した。

 英ケンブリッジ大学と共同で、11月22日~12月26日の期間にオミクロン株に感染した52万8176人とデルタ株に感染した57万3012人を比較した。病院を受診するリスクはオミクロン株への感染ではデルタ株の約半分で、デルタ株のリスクを1とすると0.53だった。入院リスクはデルタ株の3分の1で、0.33だった。

 ロンドンなどを含むイングランドでオミクロン株に感染した64万9834人の分析では、815人が入院した。入院患者の年齢の中央値は45.5歳で、うち70歳以上が30.8%だった。

■既存薬の効果低下

 これらの分析では、入院患者の重症度は考慮されていない。重症度の比較にはもうしばらく時間がかかるという。英国健康安全保障庁は、

「オミクロン株の方がより感染が拡大しやすく、ワクチンの効果が低くなることを考えれば、入院リスクが低いからと言って医療体制への負荷が軽くなるとは限らない」

 としている。

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